第14話 かやのそと

 ダンジョンの発生が発表された次の日、今日も朝から常設依頼を受けにギルドに行くと、たくさんの冒険者で溢れかえっていた。


 「これは、入れそうにないな。常設依頼を受けずに行こう。」


 常設依頼は受ける必要は基本的にはない。内容は変わらないからだ。わざわざ受けに行く理由は、街の外に行ったことをギルドの職員が把握できるようにするためだ。


 冒険者は自己責任が基本ではあるが、あくまでそれは1人前の冒険者と認められてからだ。具体的にはE級に上がって初めてギルドに1人前と認められる。


 F級や僕のようなG級は、1人前の冒険者とは認められていない。だから、街の外の常設依頼を受ける場合はギルドに受ける旨を伝えるように教えられる。


 万が一、暗くなっても帰ってこなかった場合に、すぐに対処できるようにするためだ。


 いつもの河原まで行き、周囲の森で採取をした後、フォレストウルフの肉を高くした石の上で焼いて食べました。


 「今日もカームエルクが向こう側で川の水を飲んでるな。」


カームエルクは近づかなければ安全だ。川の向こう側にいることを考えたら、向こう側で採取は行わない方がいいだろう。


 また、焼いた肉の匂いに釣られてきたフォレストウルフを闇魔法で倒すと、カームエルクが倒れたフォレストウルフを1体持っていき、森の奥に消えていった。


 「僕に気づいているのに毎回堂々と持っていくのか。手を出したら確実に高くした石が壊されるからな。」


害はないと思われるているのは助かるし、どうせ、フォレストウルフは全部ギルドに持っていけないから文句はないが、


 「敵になるとは思われてないか。」


 カームエルクは強いから、正面から倒すのは危険だ。少なくともC級パーティじゃないと無理だろう。


 今日も暗くなる前にギルドに戻ると、朝ほど人はいませんでしたが、中の冒険者たちは新しいダンジョンの話ばかりしていました。


 報酬をもらい、夕食を食べ、ゴブリンの魔石を喰い、寝ました。


 次の日、ダンジョンの攻略を行うパーティについて発表があったらしい。新しいダンジョンが発生すると、魔物の種類やダンジョン内部の様子、ランクを決めるための調査を行う必要があります。

 

 攻略を行うパーティは"蒼雷の剣"、"鬼剛の斧"、"赤黄の戦乙女"に決まったようです。


 ギルドの中に入ると、エリカさんはいなかったため、別の職員に常設依頼を受けることを伝えて街の外に行きました。


 いつもの河原でいつものようにカームエルクが、肉を焼いた匂いに釣られてきて、僕が倒したフォレストウルフを1体持って行きました。


 ギルドに戻るとエリカさんがいなかったため、別の職員に報酬をもらい、1日が終わりました。


 次の日、朝からギルドの前にたくさんの冒険者がいて、その中心に"蒼雷の剣"、"鬼剛の斧"、赤黄の戦乙女"がいました。


 その周りにはエリカさんを含めたギルド職員が何人かいて、ダンジョンまでいっしょに行くようでした。


 出発を見送ると、冒険者達はギルドに入っていきました。ギルドの中は混雑していたため、中に入らず街の外に行き、いつものことをして報酬を受け取り1日を終えました。









「よう、ブラウ。」


「なんだ?アクスト?」


「サリカが新しいダンジョンが発生したのを発見したらしいな。」


「ああ、そうだな。」


「本当にそう思うか?ギルマスの冒険者時代のパーティメンバーだからな。口裏合わせてるかもしれねぇぜ。」


「なら直接ギルマスに聞くか?」


「それは怖いんで遠慮するよ。」


「要件はもう終わりか?」


 「ダンジョンの攻略は、俺たち"鬼剛の斧"が一番のりだからな。」


「どんなダンジョンかもわからないのにか?」


「はっはっはっ。それぐらいの意気込みだってことだよ。」


「俺たち"蒼雷の剣"としてはさっさと終わらせたいからな。」


「違えねえ。こんな面倒なことさっさと終わらせて、ダンジョンをどうするか決めてもらいたいもんだぜ。」


「そうだな。F〜Bランクまでは2個ずつあるからな。よっぽど有用でない限りはダンジョンコアを取り除くことになるだろうさ。」


「攻略してからのお楽しみだな。」


「そうだな。それじゃあな。パーティで打ち合わせがあるんでな。」


「俺たちもしておくよ。じゃあな。」

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