第13話 ダンジョンの発生
湖周辺の魔力の濃度を測定するため、急いで湖に向かいました。
「スライムが多いのも湖周辺の魔力が濃くなっているからかな?」
スライムを倒しながら、魔物がどうやって増えるのか、エリカさんに聞いてみようと思いました。
「スライムがいなくなったから早速魔道具を動かそう。」
背負い袋から魔道具を出し、動かしました。すると、メーターが黄色になってからも動き続き、赤色に近いところで止まりました。
「黄色になったから、急いでエリカさんに伝えないと。赤色に近づいたことも伝えておこう。」
ギルドに戻り、エリカさんに声を掛けました。
「エリカさん、今大丈夫ですか?」
「トーン君、わかったわ。個室に行きましょう。」
エリカさんと共に個室に入ると、聞かれました。
「結果はどうだった?」
「魔道具は黄色まで行きました。それと、赤色に近づきました。」
「そう。赤色に近づいたのね。トーン君、詳しいことがわかったら教えるわ。だから、しばらくは湖には近づかないようにね。」
「えーと、」
「そうね、湖で1日過ごせるようになったのにもういけなくなるのは残念よね。でもね、ダンジョンができるかもしれない所で活動するのは危険なのよ。だから、申し訳ないけど、新しい場所を探してもらえないかしら。」
「わかりました。」
魔道具を返し、ギルドを出て部屋に戻りました。
「あの湖にはいけないのか。」
せっかく、湖で1日過ごせるようになったのに、行けなくなってしまい、とても気持ちが落ち込みました。
昼になり、お腹がすきましたが、外に出る気分にはなりませんでした。
「どうしようか。」
今後のことを考えようと思いましたが、上手く整理ができませんでした。
暗くなり、お腹がとてもすいたので、仕方なく食堂に向かいました。食堂では銅貨5枚の食事を取り、急いで部屋に戻り、今日は何もせずに寝ることにしました。
次の日、いつもよりも早く寝たため、薄く明るい時間に起きました。
祝福を使い、寝転がって考えました。
「今日はどうしようか。いつもと逆の門の向こうにいこうかな?」
いつもは西の門から出て、南の森に向かっていたので今日は東の門から南へ行こうと思いました。
そうと決まれば、ギルドに向かい、常設依頼を受け、東の門から外に出ました。
しばらく進んだ後、南の森に入り、木の上を移動しました。
出てくる魔物はホーンラビット、スライム、フォレストウルフ、ゴブリンと変わり映えのない物でした。
倒しながらしばらく進むと、川が見えてきました。結構大きな流れが緩やかな川で、河原には、対岸に水を飲みにきた、カームエルクがいました。
カームエルクはとても大きく、立派な角が生えた鹿の魔物です。基本的に穏やかで、こちらから手を出さなければ何もしてきません。木の上から見ていると、こちらに気づいているようですが、構わず水を飲んでいます。
「休むならこの川にしようかな?少なくともカームエルクは安全だし、他の魔物も石を高くすれば安心だろう。」
カームエルク以外に何もいないことを確認し、木の上から降りて河原に近づきます。
カームエルクは構わず水を飲んでいるため、河原で石を高くし、フォレストウルフの肉を焼きました。
焼いていると、森から気配が近づいてきました。フォレストウルフが5体来ましたか、カームエルクに気づくと止まります。
カームエルクもフォレストウルフに気づくと水を飲むのをやめ、フォレストウルフを睨みます。
フォレストウルフはカームエルクを迂回してこちらに近づいてきました。1体がカームエルクを見て4体がこちらを睨み、吠えてきたため、闇魔法でフォレストウルフを3体倒し、2体が逃げました。
カームエルクは僕とフォレストウルフの死体を交互にみました。
「どうしようか、カームエルクは欲しそうにしているけど、戦うのは避けたいし。」
カームエルクは大きいから、石が壊されそうで戦いたくありません。だから、いつでも石の上に登れるように、ロープのような石を垂らして降りて、フォレストウルフから魔石を取り出し、再び登りました。
石の上で残りの肉も焼いていると、カームエルクが近づいて、フォレストウルフの死体を1体対岸に持って行きました。
残ったフォレストウルフの死体を石の上に上げ、解体しました。その後、森の中で採取をしてギルドに戻りました。
ギルドで報酬を受け取り、ゴブリンの魔石を喰い、寝ました。
しばらくの間、河原で偶に遭遇するカームエルクに、多すぎて持って帰れなくなったフォレストウルフの死体をあげる日々を過ごしていると、ギルドで湖にの付近にダンジョンが発生したと発表されました。
「ギルドマスター、お時間よろしいでしょうか?」
「どうしたエリカ?何か起こったのか?」
「はい、ダンジョンが発生する可能性があることが、魔道具により判明しました。」
「そうか。誰からの報告だ?」
「トーン君です。」
「・・・そうか。わかった、こちらで代わりを用意しておく。あいつなら問題ないだろう。」
「お母さんに頼むのですか?」
「それが一番安全だろう。少なくとも、7歳の少年に注目が集まる事態は避けたいのだろう?」
「わかったわ。」
「口裏合わせもすぐに済む。情報が漏れることもない。そんなことよりもお父さんと呼んでくれないのか?」
「はぁ、ここはギルドですよ。呼ぶわけないでしょ。ダンジョンの件、よろしくお願いします。」
「冗談に決まっているだろう。ダンジョンの件はこちらでどうにかしておくから、先に家に帰っておくといい。」
「ええ、わかったわ。それではお先に失礼します。」
「トーン君だったか。まっ、下手に関わらんほうがいいだろう。教国での話が本当なら大変なことになる可能性があるのだろう。」
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