第12話 お昼と湖と増えるスライム
今日は、湖でお昼を食べるために、ギルドで早速常設依頼を受けました。道中にはホーンラビットやフォレストウルフがいたため、肉には困りません。
狩った魔物を手早く血抜きをした後、湖に向かうと今日もスライムがたくさんいました。
「スライムがまた湧いてるのか。まずはスライムを倒して、死骸を周囲に撒くか。」
スライムを倒して撒いた後、魔物を解体して、角・皮・肉に分けて石で包んで湖に置いた後、森の奥に行き採取を行いました。
太陽が真上に登ったころ、湖に戻るとフォレストウルフが3体、石の周りをうろついていました。
「血の匂いにつられてここまで来たのか。どうしようか。」
僕はまだ小さく、武器スキルもないため正面から戦えません。悩んでいると、”気配察知”で湖に近づく集団に気が付きました。
近づいてきたのはゴブリン5体でした。すると、ゴブリンとフォレストウルフが威嚇し合うと戦い始めました。
「これはチャンスかな?」
”隠蔽”をしながら近づいていき、決着がつく前に足元を石で高くして安全を確保しました。ゴブリンとフォレストウルフの戦いは数が多かったゴブリンが勝ちました。残ったゴブリンは2体しかいなかったため、石の上から”闇魔法”の”ダークボール”を放ちました。
”ダークボール”はゴブリンに当たるとゴブリンは弱っていたらしくあっさり倒すことができました。足元の石を戻すと、ゴブリンを森の中に持っていき放り込み、フォレストウルフを解体しました。
森で枝をたくさん拾い、石で包んでおいた肉とゴブリンが倒したフォレストウルフの肉と一緒に、足元を石で高くして安全を確保したら早速小さく切った肉を焼きました。
「枝を集めて、魔道具で火をつけたら石で台とフライパンと同じものを作る。肉をその石の上に置いたら塩を振る。しっかり焼けたのを確認したらひっくり返して、塩を振る。これで完成だ。」
初めて、外で肉を焼くため、一つ一つ確認しながら良くを焼いたら、石で皿を作り、石で作ったフォークで食べました。
「美味しい。どんどん食べれる。」
肉を生で食べるよりもはるかにおいしいため、肉をどんどん食べていきました。フォレストウルフ1体分の肉とホーンラビットの肉1匹分食べたら、石の上で寝ころびました。
「肉を焼いて食べるのが楽しくてつい食べ過ぎた。少し休んだらもう一度森に採取しに行こう。」
暫らく寝転んでいると、下の方からフォレストウルフが吠えているのに気が付きました。
「匂いにつられてきたのか。石を落とせばいいか。いや、せっかくだし”闇魔法”で倒そう。」
フォレストウルフにダークボールを放ち、2体倒したところでフォレストウルフは逃げました。
「こんなにあっても持って帰れないけどどうしようか。」
とりあえず”気配察知”と”魔力感知”で周囲を確認し、安全だとわかったため、足元の石を戻し、フォレストウルフを解体しました。
「皮と肉を石で包んだらもう1度森の奥で採取しよう。後は帰りに考えればいいか。」
また森の奥に採取しに行き、暗くなる前に、湖に戻るとフォレストウルフとゴブリンが戦っていました。生き残ったゴブリンを同じようにダークボールで倒し、せっかくなので、もう1度高くした石の上で肉を焼いて少し食べ、残りは石で包んで部屋で食べることにしました。
「焼いた肉を部屋で食べれば、夕食はお金を払わずに済むかな?いや、パンは欲しいから買いに行っておこう。」
焼いた肉を石で包んで匂いが漏れないようにした後、フォレストウルフの皮と肉、ホーンラビットの角・皮・肉を背負い袋に入れ、入らなかった肉は細かくして湖に投げ入れました。すると、水面に魔物が表れて投げ入れた肉を食べました。
「やっぱり、魚の魔物がいたのか。今後はゴブリンを投げ入れてみようかな?」
ギルドに戻り、報酬の銅貨24枚を受け取ったら、パン屋にパンを買いに行きました。
「黒パンは1個鉄貨20枚、白パンは銅貨1枚か。せっかくだし、白パン2個頼もう。」
普段から食堂で銅貨2枚の注文をしているため、白パンを2枚頼みました。部屋で石で包んでおいた焼いた肉と白パンを食べました。
「白パンはすごくおいしい!柔らかいから黒パンとは全然違う。肉は少し冷めたのかかたくなっているけどまあいいかな。」
今日も”祝福”でMPを使い切り、ゴブリンの魔石を喰って寝ました。
暫らく、同じような日々を過ごしていると、ついに湖から感じる違和感が無視できないものになりました。
「お前は何か知っているか?」
湖にゴブリンを投げ入れると現れる魚の魔物に声を掛けますが無視されます。
「わからないよな。」
今日もスライムがたくさんいたため、ギルドに帰ったらエリカさんに尋ねることにしました。
「エリカさん今大丈夫ですか?」
「えぇ。大丈夫よ。個室に行きましょう。」
エリカさんと個室に入ると湖の違和感について相談しました。
「スライムが毎日たくさんいて、魔力が高まっているのよね?」
「はい。”魔力感知”でそう感じました。」
「もしかするとダンジョンができる前兆かもしれないわね。」
「ダンジョンができるのですか?」
「まだわからないけど、可能性はありうるわ。ちょっと待ってね。」
個室にある棚から何かを取り出しました。
「これは、周囲の魔力を測定する魔道具よ。メーターがあって、緑色は通常の濃度。黄色は少し濃い濃度。赤はとても濃く、ダンジョンがができる可能性が高い濃度あるいはダンジョンの中の通常の濃度を表しているわ。」
「黒い部分は何ですか?」
「これはスタンピードが起きる可能性を表している濃度よ。ダンジョンの中でこの濃度までなったら、いつスタンピードが起きてもおかしくない状態になるわ。とにかく、明日にでもこの魔道具を持って行って測定してみて頂戴。みんなダンジョンに潜るから、あの湖まで安全に行ける冒険者がいないのよ。」
D級まで上がった冒険者はダンジョンに潜るため、街の外の依頼を受ける冒険者はE級以下の冒険者しかいないようです。
「この魔道具を石で包んで背負い袋に入れなさい。そして明日はギルドに来ないで真っ直ぐに湖に向かって測定するのよ。測定し終えて、黄色か赤色ならすぐ戻ってきなさい。緑ならそのまま採取や魔物を倒して大丈夫よ。」
「わかりました。」
「よろしくね。」
石で包んだ魔道具を背負い袋に入れ、部屋に戻り今日は寝ました。明日は食堂で朝食を食べたらすぐに湖に向かいます。
ここは、ラヴァラカイ街に近い小さな町の教会。保護した村人たちの世話をしています。
「まさか、冬のうちに餓死者が出る村があるとわ。やはり王国の貴族のレベルが下がってきているのか。いや、平民の命を軽く見ているのだろう。確か”貴族派”などという派閥ができていつらしいからな。」
「司祭様。どうされますか?」
「すでに、貴族は領地を没収され、別の貴族が取り仕切っているからな。これ以上我々ができることはない。」
「そうですか。」
「あとできることは。生き残った母親の言っていた口減らしで追放された子供の行方を捜すことぐらいだろう。」
「ラヴァラカイ街の方向でしたよね。」
「ああ。その方向に追放したようだ。行商人に頼んで、間にある村の村長とラヴァラカイ街の教会宛に手紙を用意する。冬の間に迷い込んだ子供がいないか確認するためにな。」
「わかりました。急いで手紙を用意します。」
「大変な時期に申し訳ない。」
「私の方こそ、来月には移動があって手伝えなく申し訳ないです。」
「こちらのことは、気にしなくていい。折角、抽選で希望が叶ったんだ。行ってくるといい。教皇様を迎える大事な準備だろう。しっかりと果たすんだ。土産話楽しみにしているよ。」
「はい。教皇様が訪れる最初の街ですからね。準備のお手伝い、しっかりと行ってきます。」
「応援しているよ。」
「さて、僕が固有の鑑定を行った子が何人か追放されたからね。僕が探すのが適任だろう。運よく生き残った母親の子はトーン君だと言っていたな。あの変わ った固有を女神様から授かった子だから生きていると思うが。」
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