第3話 お金と魔石と鑑定
夕方の食堂は混んでいることが多い。運よくテーブルが空いていたため、1人で食事ができました。この食堂はお酒がなく、E級やF級の冒険者が利用するため、横暴な態度をとる人は少ないです。もし、この食堂で騒ぎを起こすとギルドの目の前であるため、すぐに職員が駆けつけてきます。その職員は元冒険者でB級で引退した人であるため、この食堂で騒ぎを起こす人はいないため、安心して食事ができます。
食事を終えたら、解体所に向かい、フォレストウルフの報酬を受け取りに行きました。
「すいません、解体をお願いしたトーンです。」
「トーンか、もう解体が終わっているから報酬が渡そう。フォレストウルフ2匹分だが、解体料金を引くと銅貨4枚、魔石2個で銅貨1枚になるな。」
「ありがとうございます。」
銅貨を受け取り、袋に入れました。
「解体ありがとうございます。」
宿舎の自分の部屋に戻ると、ベッドの下からお金を入れた石を出して、現在の合計を数えることにしました。
「銅貨は212枚、鉄貨は630枚か。背負い袋も悪くなってきたから、銅貨10枚の良いものを買うとして、掘り出し物市場を明日にでも行ってみようかな?」
お金は10枚が1束になるように石で固定してあるため、数えやすくなっています。この街に来た時は雪が降っている時期であったため、屋根から雪を下ろす作業を鉄貨5枚でたくさん行い、屋根の修理の手伝いもしていたため、外に出る依頼を受けずに済みましたが、雪が止むと街の中の依頼が少なくなりました。
F級冒険者と被る常設依頼が多くなったため、慎重に動く必要があり、大変です。街の外には衛兵がいないため、もめたら逃げる必要があります。
「後は、手に入れて貯めている魔石を確認しよう。」
ベッドから魔石を入れている石を引っ張り出します。石は今、スライム・ホーンラビット・ゴブリン・フォレストウルフの魔石に分けています。
「スライムの魔石が今日のも含めて23個、ホーンラビットの魔石2個、フォレストウルフの魔石3個、ゴブリンの魔石14個か。今日のゴブリン魔石は洗っていないから、どこかで洗っておこう。」
1日1個魔石を喰うことができるため、喰う魔石を選ぶ必要があります。
「やっぱりゴブリンの魔石かな。他の魔物の魔石はもう得られるスキルはなさそうだし。」
前回の鑑定の結果から、スキルが得られていることがわかっているため、寝る前にゴブリンの魔石を喰うことにしました。
「後は、石を拾いに少し散歩しよう。」
お金と魔石をベッドの下に戻すと、石を集めに外に出ました。石を喰うことで魔物との戦闘で助かっているため、石は集めておいて訓練の間や寝る前に喰うことにしています。また、”隠蔽”しながら散歩すれば、スキルレベルも上げやすくなります。
「今日は、久しぶりに鑑定をしてもらおう。値段は銅貨1枚だからお金も用意しないと。」
袋に銅貨が11枚、鉄貨が100枚あるのを確認し、背負い袋を背負い、街の中を散歩しに行きました。
街の中を散歩していると、ダンジョン帰りの冒険者チームがギルドに向かう姿が見えました。ダンジョンでは、魔物を倒すと魔石になるため、外の魔物と違って荷物が増えるペースは遅いです。そのため、大量の魔石をギルドに提出することで、銀貨以上になります。また、階層ボスを倒すと、宝箱が出て場合によっては高額で売れるものや、強力な装備が手に入ります。ダンジョンはD級にならないと入れないため、早く成人して、ダンジョンに入りたいです。
ダンジョンの宝箱から出たものの中で、ギルドに売られたものは、ギルドと提携しているダンジョン屋で売り出されることがあります。強力な装備も、より強力な装備を持っている冒険者チームは売るため、そういったものが売りに出されます。
「ダンジョン屋は明日の朝見に行こう。」
その後も、石を拾いながら武器屋、防具屋、道具屋、雑貨屋を眺めながら時間をつぶしました。暗くなってきたため、1度ギルドに戻りました。ギルドには冒険者があまりいませんでした。
「エリカさん、鑑定してもらってもいいですか。」
「ええ、大丈夫よ。それじゃ、個室に案内するわね。」
鑑定は鑑定石を用いて行われます。個室にはギルドの職員がいて、鑑定石の管理を行っています。鑑定石は魔石に鑑定を付与したもので、何度も使用していると効果を失います。1度効果を失った鑑定石を喰うことができましたが、何も得られず、その日はスライムの魔石を喰いました。
「銅貨1枚になります。」
袋から銅貨を1枚出して、渡しました。個室に入ると職員に鑑定石を渡されました。
「鑑定は1回だけ行うんだ。それと、鑑定結果をメモするなら、紙の代金として鉄貨10枚が必要になるがどうする。」
「メモしたいので、鉄貨10枚払います。」
袋から鉄貨10枚を渡しました。
「それでは、俺は外に出るから、終わったら声をかけるんだ。」
「はい、わかりました。」
職員が外にでるの確認したら鑑定石を使用しました。すると自分のステータスとスキルが出ました。
トーン 6歳 レベル6
HP 36
MP 56
筋力 20
耐久 16
魔力 6
魔防 6
器用 18
敏捷 23
スキル
気配察知2 咬合1 俊足1
魔力感知2 酸1
悪食1
隠蔽2
固有
石喰い
鑑定の結果をメモに映したら、メモを袋に入れて職員を呼びます。
「鑑定が終わりました。」
職員が個室に入ると鑑定石を確認して回収しました。
「問題ないな。なら、鑑定結果は知られないようにするんだぞ。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
個室から出て、エリカさんに挨拶をして、家に帰って鑑定結果を前回と比較します。
トーン 6歳 レベル5→レベル6
HP 34→36
MP 45→56
筋力 18→20
耐久 14→16
魔力 5→6
魔防 5→6
器用 16→20
敏捷 21→23
スキル
気配察知2 咬合1 俊足1
魔力感知2 酸1
悪食1
隠蔽1→2
固有
石喰い
「(前回は10日前に行ったから、やっぱり魔石を喰うとMPが1上がるのは確定かな。それ以外の上昇はレベルの上昇か、魔石による上昇か、訓練による上昇だろう。)」
ステータスを上昇させる方法はレベルによる上昇と、戦闘や訓練、日々の行動による上昇もあります。
レベルはとても上がりにくく、強い冒険者でもレベルは50ぐらいが最大と言われています。そのため、レベルが上がるほど強い魔物と戦っていると、レベルによるステータスの上昇よりも、レベルが上がるまでの間に行っていた日々の戦闘や、訓練によるステータスの上昇の方が大きいらしいです。
弱い魔物を一方的に倒しても、ステータスはほとんど上昇しないため、冒険者は戦って倒すように意識することが大事だと言われています。
僕の場合は、魔石を喰うとMPは1上がり、さらに魔物の最も高いステータスが上がりやすいと予想しています。理由は、敏捷のステータスが1番高く、ウルフ系やホーンラビットは敏捷が1番高く、魔石も1番多く喰ったからです。
また、この10日間はゴブリンの魔石だけ喰っていたため、器用の上昇が1番大きく、ゴブリンのステータスは器用が1番大きいことからも予想は当たっていると考えられます。
「早く武器スキルが得られるように剣の訓練をしてから寝よう。」
宿舎から出て、周りにいないことを確認してから、木剣を振りました。疲れるまで振ったら、部屋に戻り、石とゴブリンの魔石を喰って寝ました。
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