第7話 王国と1500年
今日はエリカさんのギルドでのお仕事が休みであるため、色んなことを教えてもらえる日となっています。
エリカさんは緑髪長髪の15歳、ギルドに13歳で採用された豊富な知識を持っている女性だ。父親はこの街、ゾイデスッド領・スーデールのギルドマスターである。僕が雪の降る中、この街に入り、ギルドで色んな対応をしてくれた恩人だ。
「早速だけど、このアマノレッド王国について、教えるからしっかり覚えてね。」
「はい、よろしくお願いします。」
僕は寒村の出身であり、次男であったため、何も教えてもらうことなく口減らしで急遽村を追い出された身だ。だから、村のことも国のことも知らないため、エリカさんに当たり前のことを教えてもらっている。
「まず、アマノレッド王国は今年1500年を迎えるため、祭りが行われます。さらに、教国の教皇様が王都を訪問するため、この街を通りますので失礼のないように気を付けてください。」
「はい。」
「ですから、まずはアマノレッド王国の成り立ちを教え、次に現在の重要な街と王都について教えますので、覚えてくださいね。」
「はい、覚えます。」
「アマノレッド王国は、魔王を倒した勇者の固有を授かった女性と剣聖の固有を授かった男性が建国しました。」
「魔王と勇者ですか。」
「ええ、魔王が突然出現し、教国が女神トラデンミティ様から神託を授かり、触媒と魔法陣を使用して、勇者の固有を授かった女性を召喚したのです。」
「詳しくわ、勇者の固有を授かった魂を召喚する魔法陣ね。肉体を呼ぶことはできないから、触媒が必要だと神託にあったらしいわね。当時の神託の内容は一言一句違わず記される決まりになっているから、間違った表記は罰せられることで有名ね。」
「勇者様は建国した後は色んな制度を作ったことで有名で、今使っている日付や時間も勇者様が定めたことなのよ。」
「えーと、1年が12月で1月が30日、1日は24時間ですよね。」
「ええ。そうよ。」
「そして、魔王の核は、この国の中央に位置する、スィリディリュー領・チェントロッチ街の地下に封印されているわ。」
「魔王の核があるんですか?」
「そう。だから次にスィリディリュー領・チェントロッチ街について話して、その後北の王都シャウレージョ、この街スーデール、東のリータイズラフ領・ヴィーホットスト街、西のマアニュガルストル領・ラヴァラカイ街について説明するわ。」
「スィリディリュー領・チェントロッチ街は魔王の核が封印されている影響で、ダンジョンの発生が王国で最も多いことで有名ね。」
「ダンジョンの発生ですか?」
「そう。ダンジョンは発生するものなのよ。はるか昔に起きた大災害以降、ダンジョンが発生するようになって、有名なところはトラデンミティ教国の向こうにある魔の寝床ね。来週にでも話すわ。」
「はい。」
「チェントロッチ街は1日に1つはダンジョンが発生して、1日放置するだけでスタンピードを起こすことで有名だから、冒険者も一攫千金で集まっていて、教国の精鋭も派遣されているほどね。」
「スタンピードって何ですか?」
「スタンピードはダンジョンから本来出てこないはずの魔物が地上に大量に出てくる現象ね。もし、チェントロッチ街で複数のダンジョンがスタンピードを起こして、ダンジョンの間引きが間に合わなくなったら、魔王が復活すると、女神さまから神託を授かっているようね。」
「ダンジョンにはコアが存在していて、そのコアを取るか破壊すると、ダンジョンは機能を停止して、しばらくしたら崩壊するの。だから有用なダンジョンじゃないならコアを取ることになっているわ。」
「この街にもF~B級のダンジョンが2つずつあるから、新しくダンジョンができても、よっぽど有用でないとコアを取られるわね。」
「だから、チェントロッチ街に行くならD級以上の冒険者になってからの方がいいわね。それでも、あそこの冒険者は特級もいるから、活躍するのは難しいわね。」
「チェントロッチ街は強い冒険者が多いんですね。」
「そうよ。それに、教国の精鋭も特級と同等の人が派遣されているし、スィリディリュー領を治めているスィリディリュー侯爵は、最もまともな貴族であり、最も強い貴族としても有名よ。その子供たちも強いし、1番冒険者の待遇がいい街でもあるわ。」
「次に王都シャウレージョについて話すわ。」
「はい。」
「王都シャウレージョはとても立派なお城があって、そこに勇者様の子孫である王様が住んでいるわ。現国王はアマノ=シャウレージョ=グリフレッド様。王妃はアマノ=シャウレージョ=クリス様。絶対に覚えなさい。この国で最も偉い人だからね。会うことはないだろうけど。」
「えーと、アマノ=シャウレージョ=グリフレッド様とアマノ=シャウレージョ=クリス様ですね。」
「そうよ。後は王立アカデミー学園が勇者様によって作られていて、12歳の貴族の子供が入学することになっているわね。まぁ、結婚相手を探すことが目的の子が多いらしいけどね。」
「結婚ですか?」
「トーン君にはまだ早いから、気にしなくていいわ。次にこの街のスーデールについて話すは。ゾイデスッド領はゾイデスッド公爵が治めていて、教国と面していることから、平民にも優しい貴族ね。現在はゾイデスッド=カルスティッヒ様が領主だから、失礼な態度を取らない限りは、大丈夫よ。1500年の祭りの挨拶はこの街で行うから、見ることができるわね。」
「トーン君が知っての通り、ダンジョンはF~Bランクが2つずつあるのと、教国と面していることから、教国との取引の窓口を担っているわ。」
「次に東のリータイズラフ領・ヴィーホットスト街と西のマアニュガルストル領・ラヴァラカイ街だけど、行く価値はないわ。」
「えっ?」
「リータイズラフ領を治めているリータイズラフ公爵もマアニュガルストル領を治めているマアニュガルストル公爵、どちらも勇者様の血を引いているからって、平民や冒険者を見下しているし、評判も良くないわ。」
「勇者様の血を引いているんですか!」
「ええそうよ。公爵はみな勇者様の血を引く王族と迎え入れているのよ。まあ、だからこそ、教国との関係が悪化している原因になっているんだけどね。」
「何かあるのですか?」
「勇者様はこんな言葉を残しているのよ。”私の血を引く者は血ではなく意思を尊ぶように。意思をないがしろにする者に血を引く資格はない”とね。教国はその言葉を知っているから、今の公爵が許せないのよ。それでも、王様が頑張っているから関係は続いているけどね。」
「とりあえず、東のリータイズラフ領・ヴィーホットスト街と西のマアニュガルストル領・ラヴァラカイ街は近づかないように。大きな街という認識で十分ね。」
「わかりました。」
「今日教えたことは覚えておきなさいよ。それじゃ、今日はこれでおしまいにするわね。」
「今日はありがとうございました。」
「それじゃあね。街の外に出るなら気を付けてね。」
「はい、気を付けます。」
エリカさんが部屋を出て行ったら、街の外に出る準備をした後、食堂で食事をし、常設依頼を受けました。祭りに向けて、お金を貯めた方いいと思い、いつもよりも、採取を頑張りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます