第6話 固有とステータスの関係
”蒼雷の剣”のみなさんに、レベルアップによるステータスの変化について、鑑定結果を見てもらいました。
トーン 6歳 レベル5→レベル6
HP 34→36
MP 45→56
筋力 18→20
耐久 14→16
魔力 5→6
魔防 5→6
器用 16→20
敏捷 21→23
スキル
気配察知2 咬合1 俊足1
魔力感知2 酸1
悪食1
隠蔽1→2
固有
石喰い
「これが、昨日鑑定した結果と11日前に鑑定した結果を比べたものになるのですが。それと、この10日間はゴブリン魔石だけ喰っています。」
みんなでステータスの変化を見ていると、ブラウさんが言いました。
「どうやら、トーン君の固有のデメリットの1つはレベルアップによるステータスの上昇が最低値になることのようだね。」
「えーと、それは他の固有と比べるとどれくらい違うのですか?」
「レベルアップによるステータスの上昇量は、基準値が5となると言われているんだ。」
「基準値が5,ですか。」
「そうだ。例えば剣士の固有であれば、HP・筋力・器用・敏捷が6~9上昇し、MP・耐久・魔力・魔防が2~4上昇することは有名だな。」
「俺の固有は戦士だから、HP・筋力・耐久が7~10上昇するな。だが、MP・魔力・魔防・器用・敏捷は2~4だな。」
「私の固有は魔法使いだから、MP・魔力・魔防が7~10ね。HP・筋力・耐久・器用・敏捷は2~4になるわね。」
「私の固有はシスターですので、MP・魔力・魔防が7~10ね。HPが5くらい。筋力・耐久・器用・敏捷は2~4になるわね。」
「俺は魔法剣士だから、MP・筋力・魔力・器用・敏捷が6~9。HP・耐久・魔防が2~4だな。」
「確か、料理人は耐久・器用が7~10、HP・筋力・敏捷が3~4、MP・魔力・魔防が1~2だったな。」
「レベルアップで魔力と魔防は1しか上がっていない。」
「おそらく、MP以外は1しか上昇しない可能性があるな。」
「魔力と魔防以外もですか?」
「ああ、ステータスは日々の訓練でも上昇する。筋力は剣を毎日疲れるまで素振りすれば上昇するし、HPや耐久は攻撃を受ければ上昇する。敏捷は毎日森の中を走っているのなら、上がりやすいだろう。MPは、消費しきらないと上がることはないから、2上昇するのだろう。」
「そうなんですか。」
レベルアップによる、ステータスの上昇が他の固有に比べてとても小さいのは、大きなデメリットに感じました。
「だが、魔石を喰えば強くなれるんだろ。ましてやMPは毎日1ずつ上昇するんだからな。スキルさえ手に入れば使いたい放題になるだろ。」
「そうね。魔法もMPの心配せずに使えるようになるかもしれないでしょ。」
「落ち込んでいるトーン君にこれを差し上げよう。」
ブラウさんはマジックバックから魔石を10個出しました。
「この魔石は?」
「ああ、ぜひ喰ってみて欲しい魔石だ。」
「もらえませんよ。こんな高そうな魔石を。」
魔石はスライムやホーンラビットに比べて大きくとても濃い色をしていました。魔石の値段は大きさと濃さで値段は変わります。
「何、こちらとしてもメリットがあるかもしれないスキルをもった魔物の魔石さ。」
「どんなスキルを持った魔物ですか?」
「メロディーラビットと呼ばれている魔物さ。」
「メロディーラビット?」
「ああ、メロディーラビットはBランクダンジョンに出てくる厄介な魔物で、基本的に他の魔物と行動していて、戦いが始まると音をだして魔物を強化したり、周囲の魔物を呼んだりするんだ。」
「変わった魔物ですね。」
「そうだな。魔物は基本的に他の魔物と群れることはない。だが、この魔物だけは例外で、他の魔物も群れに受け入れるんだ。」
「どんなスキルを持っているんですか。」
ギルドには魔物の情報が乗っている本が置いてあるが、さすがにダンジョンにいる魔物はまだ読んでいない。
「鑑定ができる固有を持っている人が鑑定した結果、”鼓舞”1・”祝福”1・”跳躍”1・”回避”1らしい。」
「全部のスキルが1ってBランクのダンジョンの魔物とは思えないですね。鼓舞と祝福ってどんなスキルですか。」
「メロディーラビット自体は戦わないからな。だからスキルは1なのかもしれん。”鼓舞”は周囲の味方を強化するスキルだと考えられる。”祝福”は運を上昇してくれるかもしれないスキルだな。」
「”祝福”を手に入れたことのある人はいませんが、魔物のスキルをまとめた本に”祝福”は運の上昇も可能だと記述されていました。詳しいレベルまでは記述されていませんでしたが。」
「”鼓舞”が味方の強化で、”祝福”が運を上昇させるかもしれないスキルですか。」
「そうだ。もし、運を強化できるなら、宝箱の中身が今よりもよくなる可能性があるのさ!」
「宝箱の中身をですか!」
「ああそうだ!とても興味があるだろう!もし運が良くなるなら大きな玉に強力な装備が手に入るかもしれないんだ!」
「でも、僕はダンジョンに入れませんよ。」
「ああ、わかっているさ。祝福は俺たちがダンジョンに入る前にかけてくれればいい。味方を強化するスキルの効果時間は、消費したMPを増やせば長くできるはずだ。そうだろ?」
「ええ。確かに消費するMPを増やせば効果時間は伸びますけど、効率は落ちますから普通はしませんよ?」
「だが、トーン君ならMPがどんどん増えていくからね。ましてや、”祝福”で可能な限りMPを消費すれば、MPも伸びるはずだ。」
「本当にいいんですか?魔石を貰っても。」
「ぜひ、”祝福”を覚えて欲しい。そして、スキルレベルがいくつで運が上昇できるようになるかはわからないから、どんどんスキルを使ってくれ。」
「わかりました。早速今日から喰っていきます。」
「頼んだぞ。」
「話が終わったなら、飯を早く食べちまおう。もう暗くなってきたから部屋に戻らないとだろ。」
「そうね、帰るのが遅くなったらエリカが起こるものね。」
「おっと、そうだったね。残りを早く食べよう。」
6人前でしたが、ブラウさんとアズラクさんがたくさん食べたので、すぐになくなりました。
「今日はおいしいお肉、ありがとうございます。」
「ダンジョンに潜っている間、気がかりになっていたからな。大丈夫そうでよかったよ。それに、石の件では俺たちはとても助かったしな。」
「おう、どうしても気になるなら、将来冒険者として成り上がった時にでも返してくれればいいさ。」
「成人するまでは無理するんじゃないわよ。」
「トーン君なら、成人すればすぐに1流の冒険者になれますよ。」
「今日はありがとうございました。」
”蒼雷の剣”のみなさんに挨拶をして急いで自分の部屋まで戻りました。今日はもう遅いのでメロディーラビットの魔石を喰ってすぐに寝ました。
「さて、酒をもっと頼もうか。」
「ああ、まだまだ飲み足りないからな。」
「ええ、ダンジョンから戻ったんだから、ジャンジャン飲むわよ。」
「みなさん、ほどほどにしないと明日が大変になりますよ?」
「構わないさ。明日は1日中寝るつもりさ。」
「しっかし、トーンがこの街に来てもう1か月か?」
「43日だ。」
「細かく覚えているな。今日は4月8日だから…」
「あんたねぇ、2月25日よ。あんなの忘れられるわけないでしょ。」
「はっはっは、計算は苦手だ。」
「トーン君も計算は苦手でしたね。」
「エリカが厳しく教えているだろ。冒険者なら最低限の計算はできる必要がある。何より、パーティを組むのはもめるだろうし。」
「だろうな。だがソロでもなんとかなるだろ。普通はホワイトウルフに食い殺されてるはずだからな。ましてや、雪の中のレッドベアーを返り討ちにするなんて。」
「将来どうなるか楽しみだ。」
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