匂い。お酒の、作者さまの。
- ★★★ Excellent!!!
終始、お酒の匂い。
洒脱、洒落、ということばをつかいたいのに、全編全話がアルコールですから、困ります。酒、脱けてない。落ちてない。
それでも、つかう。
エッセイを拝読していると、このひとは好きだなあ、このひととごはん食べたいなあってなることがよく、あります。
が、暮らしたいなあ、ってなるのは、珍しい。
まあ惚れているのですね。
惚れるのは、空気をかんずるからです。
空気は、匂いを伴う。
終始、お酒の匂い。
終始、お酒の匂い。
わたしはきっと、騙されているのだろうと思います。お酒に。
終始、お酒の匂い。
お酒の。
わたしが止めるのもきかず、夜に出ていってほしい。
玄関で眠っているわたしを明け方に叩き起こして、ほら一緒にたべよって、くっちゃくちゃになった餃子、だしてほしい。
油と醤油だらけの手で、あたま、ぐしゃりってしてほしい。
鮮明な髑髏と、疾走する車両と、誰かのあたまをばちん叩いて、転がる酔漢をふみこえて。
……なにを書いてるんだろう、わたしは。
ああ、お酒のせい、か。
ならしかたない。