そして、桜の花は散る

法学部に行くと、まず「法律は必要悪」だということ。だからこそ運用するには、人がそれぞれ考えなければならない。

死刑囚・莉愛の明るく軽妙な性格と、刑務官・真司の真面目で規律を重んじる態度の対比が鮮明です。このギャップが、二人のやりとりを印象深くしています。
特に莉愛は、死刑囚でありながらも天真爛漫な言動を見せることで、読者に「彼女は本当に極悪人なのか？」と考えさせるような複雑な魅力を持っています。

刑務官と死刑囚という立場を超えた禁断の恋を楽しむだけの物語だと思っていたらそれは思い違いで、「死刑囚は、本当に更生の余地がないのか？」「人間は罪を償うべきなのか？」といった倫理的な問題が暗に描かれていました。

1万文字程度の短い物語ながら、色々な要素の詰め込まれた作品だと思いました。

真面目で優しすぎる看守、木原真司の平凡な日々は…… 5年前に起こった無差別殺人事件の犯人である死刑囚、鹿口梨愛と出会ったことで変わっていき––––。

2人の人生を思うと思わず涙が浮かびますが、最後には幸せになれたようで……本当に良かったと思いました。

桜の花と共に描かれる、どこまでも切なく美しい彼らの物語を––––ぜひあなたも、ご一読ください。

読み合いから来ました。
悲しいけれど、パッピーエンドで良かったです…！