第14廻「大妖怪鵺と息子、鵺野夜火の謁見」

 

 登場人物紹介


 閻魔大王えんまだいおう

 地獄を統べる神、輪廻の父親。


 ぬえ

 閻魔大王に謁見に来た妖怪。


 鵺野ぬえの 夜火やか

 鵺の息子。人と妖怪のハーフ、実際の年齢は800歳を超えている。



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 ここは、炎魔宮えんまきゅうの中の謁見の間。

 木製で、金の龍の装飾が施された玉座に座った黒い着物を来た黒髪と、涼やかな赤い瞳が印象的な20代後半位に見える。



 地獄を統べる閻魔えんま大王だいおうと、彼の前にひざまずいているのは、軍服をまとった、銀髪の髪、薄い蒼い瞳の端正な顔立ちの30代位の成人男性と、黒髪で短髪、黒い瞳の詰襟つめえりの学生服を着ている高校生位の青年だ。



「閻魔王様、わたくしは妖怪ようかいぬえとその息子、ぬえと申します。以後お見知りおきを」

 鵺と夜火は、深々と首を垂れる

 閻魔大王は、その様子を見ながら静かに口を開いた。



「して、鵺。我に申したいこととは、なんなのだ?申してみよ」

「はい、御子息の輪廻様の許嫁、生命の聖女、鈴音様に是非、一度お会いしたいのです」



「何用でだ」

「奇跡の神通力じんつうりきを、お持ちの聖女様の御力をお借りしたいのです」

 そこに輪廻りんね鈴音すずねがメイドに連れられて、謁見の間に入って来た。



「ただいまっ、お父さんっ。これ見て~」

 輪廻が一声掛けて、謁見の間に入ろうとすると、護衛の鬼神達がそれを制止した。

「輪廻様、閻魔王様は只今、謁見中でございます。お部屋にお戻りくださいませ」

「分った……それじゃ」



 輪廻と鈴音達がきびすを返して、自室に戻ろうとするとそれを見ていた鵺が、すくと立ち上がって歩いて来て、輪廻と鈴音の前にひざまずきこうべれた。


 鵺はまだ幼い輪廻と鈴音を見ながら、こう言った。

「はじめまして、閻魔王様の御子息、輪廻様と聖女、鈴音様ですね?私は妖怪の鵺と申します」



 そして、鵺は鈴音をみて、続けてこう言った。

「鈴音様に折り入ってお願い致したい儀がございます」

 輪廻と鈴音が顔を見合わせて、不思議そうな表情をしていると良く通る声で閻魔大王が玉座から、一喝してきた。



「なにをしておる?我との謁見の最中に席を立つなど、言語道断ッ!」

 強大な霊気でビリビリと大気が震える。


「ひゃっ……!」



 輪廻と鈴音がビクッと肩を震わす。その瞬間、鵺の背後に閻魔大王が現れ、肩に手を置き、彼の顔を覗き込んだ

「――輪廻と鈴音達を部屋へ帰してやれ。後は、我が最後まで話を聞いてやろう……」

「それは本当でございますね?」

 鵺が仄暗い微笑で閻魔に返答を返す。それに頷く閻魔。



「ああ……子供達を巻き込まなければ、いくらでも聞いてやる」

「さあ、もう大丈夫だから二人とも部屋に戻りなさい」

 輪廻と鈴音を閻魔が優しくうながす。



 輪廻は、父親の閻魔を心配そうに振り返りながら、鈴音とメイドと共に部屋へと戻った。

 その輪廻達の様子を鵺の息子のぬえが、横目で見ていた。



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 次回は、過去編の登場人物紹介+イラスト紹介になる予定です。

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