第7廻「椿の嫉妬」
長かった夏日もやっと、落ち着いて秋になり、街路樹の
ここは、
あの日以来、りなは、学校帰りや休日に氷雨相談所に入り浸っていた。
ちょうど、昼食で輪廻達は、天ぷら蕎麦を食べていた。
「りな、ここに来るのは良いが。父さんの方は良いのか?」
輪廻が、はしを止め、りなを気遣う。
「うん…私、お父さんと昨日、喧嘩したの。頑固でね。顔合わせづらくって」
幸せそうな、ゆげを立てる天ぷら蕎麦を見ながら、りなはうつむく。
輪廻は、ここに毎日、来ている事で父親に怒られているのでは、と心配していた。
「俺は、りなちゃんと一緒にいられるのは嬉しいぜ。けどさ、親父さんとなんで、喧嘩したの?」
大和が、海老を一口頬張った後、遠慮なくりなに直球で聞いた。
すると、椿に手のひらで突然、頭をはたかれ海老を吐き出しそうになる。
「いでっ!」
「馬鹿鬼ですわね。相変わらず、せっかく輪廻さまがお気遣いされて、
椿は呆れ顔で、大和を横目で見た。
「解った、ここの事が、りなの悩みになっているのなら、俺が君の父さんに話そう」
輪廻は、力を込めてうなずく。
「輪廻さま、それは、本当に小鳥遊さんの為になっているのですか?甘いのではありませんの」
と椿が、珍しく輪廻に厳しく意見をした。
「なんだ?椿、りなちゃんが、若に可愛がられてるからって、彼女に嫉妬してんのかよ。」
大和が怪訝そうに眉根を寄せて、椿を見やる。
「うるさいわよ、あほ鬼。黙りなさい!それ以上言うと、口を縫い付けますわよ」
彼女の口から、不機嫌で乱雑な言葉が発せられる。
「あのっ!私のせいなら、ごめんなさい。でも、椿さん。はじめは、あんなに…」
と続く言葉を言おうとして、椿の言葉にさえぎられる。
「貴女に私や、輪廻さまの何が解るの?たかが、人間のくせに!!」
椿の手のひらがりなに迫る。
「椿、何をしている…!」
輪廻が割って入り、りなの代わりに弾みで頬を叩かれる。
「ああっ…!輪廻さま、ごめんなさい…」
椿は、真っ青になり、小刻みに震えている。
輪廻は顔を上げ、りなを見てうなずき、椿の方も見ると柔らかな笑みを浮かべた。
「どうした?椿、悩みがあるなら聴くよ。大丈夫、俺も大和も、りなも君の味方だからな」
「ごめんなさい。輪廻さま、小鳥遊さん」
椿は、力が抜けて床にぺたんと座りこむ。彼女の瞳からぽろぽろと涙が溢れた。
「椿さん…」りなの瞳が涙で潤む。
「ほら、大和も謝るんだ」
輪廻が大和の背中を強く叩いた。
「―――ごめん、椿。俺、言い過ぎた。お前の気持ちも考えずに…」
大和は頭を下げて、椿に謝った。
「鬼塚さん、謝らなくて良いですわ。だって私、小鳥遊さんに嫉妬していたのは、本当の事だもの」
「でも、仕事中の時は、ご依頼者様のことに専念出来るように気をつけますわ」
椿が輪廻やりな、大和達に深々と頭を下げる。
「椿さん、私、椿さんの気持ち少しだけ解りますよ。素敵ですもんね。輪廻さん!」
りなは、頬を染めはにかみながら、握手をしようと右手を出す、すると椿は気のせいか、ほんの一瞬だけ、
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お読みくださり、ありがとうございます。
今年最後の輪廻でした。
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