#3【輪廻の過去】

第9廻「輪廻の休日」

 その日は、相談所の休日の日で大和も椿もいない為、輪廻りんねは朝の七時まで寝室の布団で眠りについていた。

 一人の幼女が傷つき、倒れる。彼女が亡くなるのを抱きしめて、ただ悲しみ見ている事しか出来ない幼き頃の輪廻。

 ――だめだっ!死なないで鈴音すずねちゃん。僕をひとりにしないで――





 そこで、悪夢は途切れ輪廻は、飛び起きる。

「鈴音!!」

 ひたい鎖骨さこつの辺りのデコルテは、嫌な汗でじっとりとぬれており、涙が流れ息は弾んでいた。

「つっ…あの頃の記憶が、なぜ、繰り返しみるようになったんだ」

 輪廻は、左手で顔をおおった。


 その夢は、輪廻が幼い頃、冥府で本当にあった出来事だった。

 それは不思議なことに、りなと出会ってから、みるようになっていた。

 彼は涙と汗をぬぐうと、洗面所に顔を洗いに行った。


 今日は、りなに買い物の同行を頼まれている。

 輪廻は、ポロシャツと黒のジーンズのラフな服装に着替えると、朝食を取ってから待ち合わせ場所のショッピングモールに出かけた。



 ◇



 ショッピングモールのからくり時計の前で、待っていると輪廻の能力であと、数分でりなが着くことを感知した。


 ちなみに輪廻は、意外にも、スマホが苦手でガラケーしか持っていない。

 輪廻が腕時計をみると、りなは感知したとおりに五分後に来た。

「ごめんね、輪廻さん。待たせちゃって」

 りなは、オレンジ色のワンピースに首元に揺れる金のオープンハートのネックレス。白のカーディガンでお洒落をした姿で現れた。


 制服姿が多い、りなだが、私服も可愛く良く似合っている、と輪廻は思った。

「俺も来たばかりだから、平気だよ。さあ、行こうか」

 輪廻は、りなと一緒に並んで歩き始めた。



 本屋や雑貨店等に寄って、ショッピングをして行く二人。

 荷物を持ちながら、りなを傍らで見守るその様子は、罪人の裁きの時とは違い、あの閻魔大王の息子とは思えないとても、優しい瞳をしていて穏やかな雰囲気だ。


「りな、疲れただろう。甘味処でも入るか?」

「うんっ、ありがとう、輪廻さんっ」

 りなは可愛らしい笑顔で微笑む。

 輪廻とりなは、茶店のような和のたたずまいの甘味処に入った。



 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 ここまで、お読みくださってありがとうございます。

 2章に入りました。よろしくお願いいたします。

 色々連載がありますので更新遅くなります<(_ _)>

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