あんたの答え 噛み締めるから 熱い焼栗 剥いとくれよ 100点

ほぅ〜。読後そんな声が漏れてしまう。
なんとも大人の風情漂う趣のある短編です。

色街の片隅が舞台であり、15歳の頃からの顔馴染みでありますが、男女の関係にあらず。
そして10年経った今、男が女にとある話を持ちかける……。

作者さまのお書きになっている、キャッチコピー、あらすじにまさに凝縮された、秘めた胸の内。
それはまさに、爪の中に残りそして染まると落ちない、栗の渋皮の色を思い起こさせます。
そして実際に作中、焼栗を2人で食べるのですが……
女、ヤトがラストに手を握り締める描写に、これがまた胸が締め付けられて。そして、最初に渡した栗が熱かったのも、私には意味があるように思えたのです。

とある企画の1行を使うという、お題に則したこのお作品。その1行の使い方が凄いのなんの!
この小説の世界に馴染ませる、を通り越して、まるであつらえたかのように、あまりに生き生きと使われていてその巧みさに驚かされました。

焼き栗の如く、口に入れた瞬間に甘いわけもなく……噛み締めると滋味深く、湧き起こるその甘味に、もっともっとと思わず手を伸ばしてしまう、そんな味わい深い作品でございます。皆さんもご堪能あれ。