合掌

 これから45年続く長い旅の前に、幼馴染に会いにきた。

 思わぬ先客がいた。


「久しぶり。弘樹くん」

「お父さんこそ、お元気そうで何よりです」

「もう社会人か。立派になったね。春香もきっと喜ぶよ」

「はい」


 目の前にある冷たい石をそっと撫でてから目を閉じ、手を合わせた。

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