責務

 妻が仏壇の前で神妙な顔をしていた。


「もう。3年か」

「ええ」


 少し老けただろうか。妻の表情は瑞々しさを失っていた。

 人のことは言えない。娘が死んでからなんだか体が重いのだ。


「あの子の分も生きて死のう」

 

 口から出た言葉に自分でも驚いた。


「そうね」


 妻は微笑んでくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る