朱染

 午前5時。朝食の支度を始めた頃、娘が帰宅した。


 コートからはタバコの匂いがした。


「お母さん、朝早いね」


 バツが悪そうに、小声で話しかけてくる。気を紛らわそうたってそうはいかない。


「相手は未来の旦那さん?」

「そんなんじゃない」


 顔を真っ赤にした娘がぶっきらぼうに応えた。

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