概要
鳴いては消える、蝉の声。たった七日間の声に――言葉に、意味はあるのか。
【あらすじ】
松尾芭蕉は、「おくのほそ道」の旅の途中、出羽の立石寺(山寺)に立ち寄った。その時、あまりの蝉の声に、弟子の曾良は苦言を呈す。だが、逆に芭蕉は何も言わず、回想に浸っていた。かつての主君であり友である藤堂良忠のことを。良忠は己を蝉にたとえ、その蝉の如き短い生涯を終えた。以来、蝉の鳴く声に、意味はあるのかという想いを抱く芭蕉。そして己の俳諧の「行き先」を求め、旅に出て、山寺に至り、蝉の声を聞いた芭蕉は――良忠に向けて、一句詠んだ。
松尾芭蕉は、「おくのほそ道」の旅の途中、出羽の立石寺(山寺)に立ち寄った。その時、あまりの蝉の声に、弟子の曾良は苦言を呈す。だが、逆に芭蕉は何も言わず、回想に浸っていた。かつての主君であり友である藤堂良忠のことを。良忠は己を蝉にたとえ、その蝉の如き短い生涯を終えた。以来、蝉の鳴く声に、意味はあるのかという想いを抱く芭蕉。そして己の俳諧の「行き先」を求め、旅に出て、山寺に至り、蝉の声を聞いた芭蕉は――良忠に向けて、一句詠んだ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!芭蕉、句作への道にあったもの
芭蕉の句を知らない日本人は稀でしょう。
とはいえ、俳聖の生み出した、視覚的、音律的、そしてミステリアスな十七文字の背景を、私は知りません。
わからなければ、逆説的に想像が広がりもしますが、本作は歴史ものを得意となさる筆者の作品にあっても、想像と事実を繋げる意味においては、特に優れていると言えるでしょう。
芭蕉の歩んだ環境や、出会い、時代、そして、思い入れの深い人物との関わり合い。それらの要素が丹念に編み込まれ、ラストには、かの句へと導かれる過程と感慨が見事に一致して、芭蕉の切なる想いが結実します。
情景が目に浮かび、耳に聞こえ、余韻を残す物語です。ぜひともご一読ください。 - ★★★ Excellent!!!心温まる、時代を超えた絆と俳句の物語💖
皆さん、こんにちは!ユキナです😊今日は、カクヨムで目に留まった素晴らしい作品「その言葉に意味を足したい 〜蝉吟(せんぎん)〜」をご紹介させてもらいます。ネタバレなしで、この作品の魅力をたっぷりとお伝えするわね!
この物語は、日本の文学史にその名を刻む俳聖、松尾芭蕉と彼の人生を共にした友人・藤堂良忠(蝉吟)の関係を軸に展開されます。ただし、これは歴史をただなぞっただけの物語じゃありません。二人の深い絆、そして俳句を通じて伝えられる生きることの意味、人生の美しさと儚さが、繊細かつ力強い筆致で描かれているんよ。
作者の四谷軒さんは、蝉の生涯とそれに重ねる形での「蝉吟」という名の選択によって、生…続きを読む