story13 藍色
「 蓬莱輪廻 君 。 君 は 後 に " 死 ぬ こ と に な る " 」
「は、ぁ?」
急展開過ぎて全く頭が追い付かない。
いや…追いつくにも無理がある。
彼は一体、何者なのだろう。
やっと心の緊張がほぐれたのか、心拍数が下がって来た。
それでも、まだ心拍数が早いのは変わりない。
彼の姿を見ようと、後ろを振り向く。
「……」
「……」
わたしが振り向いた途端に…重い空気が漂った。
いや。初対面だけど、はっきり言わせてもらう。
……これは酷い。
なにせ彼は、藍色のズボン、藍色のフード、藍色マスク。
そして上下共に藍色の服装をしていたのだ。
―――完全に不法侵入者の服装と一致した。
沈黙が流れる。
彼とも目を合わせられない状況。
正直、この空間で喋り出すのは不安でしょうがなかった。
特に元・内気だったわたしには、ね。
「 ――― 自 己 紹 介 が 遅 れ た ね 。 僕 は 、
沈黙を打ち切ったのは、"氷河"という名の不審人…彼だった。
「あ...氷河、って呼んでいい?」
彼の一言によって、わたしはまた喋り出すことができた。
まだちょっっっっと目を合わせるのが怖いけど…。
「 い い よ 」
わたしの質問に、優しい返答が返って来た。
懐かしい感覚。
まるで―――"まゆ"と喋っているみたいだ。
今、気づいた。
彼の声はひんやりとしたアルト。
通常なら氷みたいな聞き心地だけれど、彼は違う。聞いていて心地が良いのだ。
そう疑問に思いながら、わたしはまた彼に質問をした。
「氷河は、何でわたしが死ぬと思ったの?」
氷河がもし輸送センターの手先だとしても、最初にはこれしか聞きようがない。
その可能性は…低いと思う、けど。
怪しまれない為にも、わたしは大人しく彼の返事を待った。
「 ――― 君 は … ホ ワ イ ト ・ア ウ ト ・ ロ ー ド を 知 っ て る ? 」
「ホワイト・アウト・ロード…」
唯一わたしから見える瞳は、見違えるほど真剣だった。
"ホワイトアウト"という単語なら知ってるけど…。
それ以外は聞き覚えないな……?
「多分…知らない」
わたしの曖昧な答えに、氷河はため息をついた。
その光景に、また心拍数が上がり、動揺をする。
わたし、何か癪に障ることでも言っちゃったの!?
不安で冷や汗が流れる。
すると彼は、ささやくように喋り出した。
「 君 が も し 、 僕 の " 約 束 を 守 る " な ら ば … 」
" 君 の 今 後 を 、 ボ ク が 知 っ て い る 限 り 全 て 話 し て あ げ る "
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