story9 治癒の湖




「誰か?い、いませんか!?」

声をかけても、返事は来なかった。

まず、人の気配すらなかったんだから。




レキの神殿正面突入したわたしは、死の覚悟を決めていた。

____なのに。

誰もいないなんて...。

これも彼女の思念なのかな...?

そう思うと背筋がゾクゾクしてきた。

「早く‼探さなきゃ」

ここがアマゾン地帯だとすれば......。

ここには汚染されたものを治すことができる"治癒の池"がある。


____お母さん情報だけれど。


蓬莱輪廻の母は、かなりの遺跡マニアだった。

わたしの脳に入って来た"レキの神殿"も、母の記憶と彼女のSOSが合致したことで

映し出されたものなんだと思う。

そして母の新しい記憶が、まだわたしの思考回路に入ってきていた。

治癒の池も、レキの神殿に隠されているという噂が世界中で期待されている。

だから、わたしはいち早くあの汚花畑を元に戻さなきゃ‼

「彼女と、同じ目に遭う人がいないように........!」


ピン‼


何かに反応したかのように全身が震えた。

つられて横を見る。

すると、そこには腐った扉が日を浴びて黒く輝いてた。

___考える前に体が動いていた。

扉を足で蹴り飛ばした。

「い”っ...!」

痛みがつま先にじわじわと広がる。

それでも体は無視して歩き続けた。

「止まって止まって‼なんで勝手に動くの!?」

叫んでも...意味はないのはわかっていた。




「ハァハァ...」

数分も走り続けており、流石にスタミナ切れだった。

なぜこんなにも体は言うことを聞かないのか。

___そうだ...あの時も‼

転生輸送センターから抜け出すため、レバーを探していた時。

わたしは足に導かれるようにしてレバーにたどり着いた......。

もしかして......。


*#”‘>/‘‘@!}+。‼?




「___ぁ...!」

湖ッ...‼

わたしは残り少ない体力で、湖まで全力疾走した。

「わ...ぉ!」

誰もが来たら同じ反応をしそうな光景が、目の前にはあった。


そ の 湖 は 、

    光 の よ う な 黄 金 だ っ た 。 




   







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