story11 過去の決意
"
わたしには、まだ使命がある。
使命が終わるまでは......。
___我が家には戻れない。
だけど、妙に寂しくなかった。
これが、"わたしは絶対に戻れる"という自分を信じた"自信"なんだろう。
"自信"が作れたのもできたのも、全て彼女が始まりだった。
◇◆⚔◆⚔◆◇
「 こ れ 、 使 っ て 」
彼女から渡されたのは、1つのレバーだった。
もしかしたら......
「 転 生 レ バ ー 。 輸 送 セ ン タ ー に も あ っ た で し ょ ? 」
「ありがとう......」
「 絶 対 生 き て よ ね 、 ‼ 」
「うん‼約束、でしょ?」
そう自信満々に言うと、彼女は微笑んだ。
「 ま た ね ! 」
グータッチをして、お互いに顔を見つめあった。
彼女の見た目には全く見覚えがない。
だが、彼女の瞳からは……
"
......さな。
幼馴染としてわたしと精一杯お世話してくれていた......。
早奈は幼稚園の頃、内気だったわたしのお世話をしてくれた。
なかなか自分の意見を言えなかったわたしに、一生懸命見つめてくれる瞳が
内気な自分を吹き飛ばしてくれたのだ。
特に、わたしは彼女の嬉しそうにする瞳が大好きだった。
目が笑っていない、という言葉を聞いたことがある?
だから、「目が笑っていれば本当に楽しい」ということだと思う。
わたしは彼女の海のように透き通った瞳を何万回も見ていた。
彼女の瞳には、心や体を癒してくれる"何か"があるのだろう。
そう、わたしは信じ続けていた......。
「見て!お花2こもとれたよ!」
あれ......。わたし、なんでここに。
「すごいよりんね!でも早く降りた方がいいよ。落ちちゃうよ」
さ、サナ!???
でもここは急斜面だ。わたしには下れな、
「うん!待ってね、今行くから」
な、体が勝手に!?
「で、でも片手に花が......!」
トッ
転がり落ちていくわたし。
「りん、」
ゴッ
嫌だ。
見たくない。
彼女がどうなったとか。
___知りたくない‼
それでも勝手に振り向くわたし。
「さ、なちゃん...?」
幸い血は出ていなかった。
だけど、頭に大きなあざが......。
まだ5才くらいだから、やばいよね!?
「うわああああん‼さなちゃんッ‼」
泣き出すわたしに、どうしたの?大丈夫?と、先生たちの声が聞こえてくる。
思い出したくなかった......。もう忘れていかった......。
そのときは、なんでさなちゃんはかばってくれたのか。
不思議で不思議でしょうがなかった。
別に_____彼女が悪いわけでもなければ、家族というわけでもない。
____だけど。
今になって分かった、"使命"を成し遂げるためにわたしは誕生して死んだ。
さなは、それに協力するための"死"を選んだ......。
だから、転生したらわたしがさなを幸せにする。
そう、死ぬ前から決めていたんだっけ。
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