物の怪の時代の終わり

　１９６０年代。高度経済成長期から取り残された田舎の山村に引っ越して来た桃太。そこには未だ鬼や河童と言った妖怪達が生息し、人間達を恐れさせていた。裕福な都会っ子として悪童達からリンチを受ける桃太。そんな彼に手を差し伸べたのは、村と妖怪との折衝役である討魔師を父に持つ少女・瓜子だった。「人間はどんどん強く豊かになる。妖怪にへつらうこの村は時代遅れになっていく」そう語る瓜子だったが、ある日ひょんなことから河童を撲殺してしまい、絶体絶命の裁判沙汰に……。
　怪異が跳梁跋扈する古の村社会の崩壊と、新たなる時代の幕開けを描く和風ファンタジー。