1−8 城中のお騒がせ
その夜、珍しく眠れずにうとうととしているフラウ王女のベッドに、妹のジェシカ王女が滑り込んできた。
かっては眠れない時ジェシカ王女は、フラウ王女から寝物語の
「お姉様!今晩だけ、私のわがままを聞いて下さい 」
ジェシカ王女は彼女なりにこれから起こるかもしれない未来の色々なことに、自分も全くの傍観者のままでは居られなくなってしまうであろうという予感がそうさせているのかもしれなかった。
フラウ王女は燃える様な赤く長い髪のポニーテイル。太陽の光を浴びると、ルビーの様な
ジェシカが未だ幼い頃フラウは、妹がまるで精巧に創られたお人形さんを見ているようだといつも
潜り込んできたジェシーの柔らかい身体に、妹の身体が思った以上に成長していることに驚きと、少しの
「この子、胸が大きい。妹のくせに私より成長している 」
と妹からすれば、とても理不尽な言いがかりを投げかけられていた。
それもこれも、今の幸せな時間に待ったが掛かるまでの間の僅かながらの平穏なひと時でもあった。
フラウ王女は妹ジェシーの絹のような滑らかな髪を指で
翌日、侍女シノラインのけたたましい声にフラウ王女は目を覚ました。
「姫様!アワアワワーとんでもないことです。だ、だ、誰をベッドの中に連れ込んでいるのですか?トトトとんでもないことを。私は、、、きっと責任を問われ、牢屋入れられて、それから打首、いや
シノラインの訳の分からない
二人の叫び声に
” そんなに慌てて、何かあったの?”
と、とても間延びした声で聞いてきた。
掛け布団の中から顔を出したのがジェシカ王女だと分かって、シノラインはヘナヘナとその場に崩れ落ちてしまった。
間をおかず、今度は隣のジェシカ王女の部屋から、再びけたたましい声が響いてきた。
「ところで、シノ!今何かとても不謹慎なことを考えていたのじゃないか?私が見知らぬ男をベッドに連れ込んでいるとか?」
「め、め、滅相も無いことを、、、
「そうか?それにしては打首やれ、
「た、た、大変です !大変です。ジェシカ王女様が行方不明に、、、」
ジェシカの侍女アンジェリーナの声である。フラウは、あわててジェシカの部屋に急ぐと、ジェシカ王女のベッドのそばで座り込んでいる侍女に、
” 何をそんなに騒いでいるのか?”
と少し落ち着かせるように声をかけた。
「ジェ、ジェシカ王女様が、行方不明になられた様です 」
「ジェシカは私の部屋に居るから、そんなに騒がないでくれないか!」
フラウ王女は、ジェシカ王女の侍女アンジェリーナを落ち着かせるように軽く肩を2〜3度叩いた。
「ベッドにジェシカ王女様がいらっしゃらないので、フラウリーデ王女様に続き、ジェシカ王女様まで行方不明になられたのかと思い、、、」
とアンジェリーナは今にも消え入りそうな声で答えた。
フラウの失踪が、城の者達に与えた影響は少なく無かったようである。やっと真実を理解して安心したのか、アンジェリーナは涙を流しながら喜んだ。
フラウ王女は、自分の失踪が不可抗力であったとしても、城の多くの者達に計り知れない影響を与えてしまったことをとても申し訳なく思った。
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