厳冬の霜を祓う、小さくも熱い夏が到来!

主人公リーザは夢を持って、異国から汪夏帝国へと渡ってきた。
しかし、異邦人の彼女は気づけば、見世物小屋の下僕になってしまった。
そんな不運な彼女が出逢ったのは、スメイア国の王。
彼の願いもあり、嫁ぐ先はスメイア国にいる「冬蛇の王」ことシムルグ第一王子だった。

この話はとにかく、最初から最後まで夏の申し子のようなリーザの魅力にやられっぱなしでした。
勿論、まるで向日葵のように夢へと直向きな彼女。持ち前の明るさは周りを暖かくさせます。
でも、まるで夏の夕立ちのように、時々臆病になることもあります。けれど、彼女は自分で足を奮い立たせ、雨雲を払い、霜を祓う。
彼女が歌う夏呼びの歌はどれも壮大で、美しいです。
本当に真っ直ぐな少女でとても好感を持てました。

相手のシムルグさんも、なんというか面倒見のいいお兄さんみたいなところが見え隠れしつつ、いい感じの俺様感も。リーザとのやり取りは、少し夫婦漫才感があり、面白いです。
彼自身己の宿命、国の宿命を背負った彼が、リーザとの出会いでどうなっていくのか先が気になります。

ちなみに、私の推しはリーザを助けた王様、ソーカル王。彼の底の見えなさ、本当に本当に本当に気になります。

この素敵な作品を是非読んでいただきたいです!!

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