凍てつく大地の支配する北大陸の汪夏帝国にやって来た少女リーザ。
彼女には「夏を呼ぶ」という特異な体質があり、歌うことで夏を届けることが出来るのですが、異邦人の彼女は汪夏帝国兵に妖術使いと怪しまれてしまいます。
そんなリーザの危機を救ったのが、北方を支配するスメイア王。
命の恩人に恩返しを……と訴えるリーザに対して、王が提案したのは第一王子との結婚!
……と、ここからがわくわくとキュン!の連続です!
リーザの夫となるのは冬蛇の王シムルグ。彼は異形の姿を持ち三百年という時を生き続けている蛇人の王子だったのです。
霜蟲に取り憑かれてしまうシムルグは夏にしか目覚められない体質なのですが、ここでリーザの力が発揮されます。
その歌は幻想的であり美しくもあり、あたたかくもあり、とてもやさしい。
夏の歌姫によって、頑なであったシムルグの心がすこしずつ動いていきます。一方のリーザも、無愛想ながらも言動にはそのやさしさが見え隠れするシムルグに惹かれていく……、夫婦でありながらも純真な恋愛に思わずキュン!です。
あったかくてやさしいふたりの恋愛、それから夏を呼ぶリーザの歌をぜひご一読くださいませ。
主人公リーザは夢を持って、異国から汪夏帝国へと渡ってきた。
しかし、異邦人の彼女は気づけば、見世物小屋の下僕になってしまった。
そんな不運な彼女が出逢ったのは、スメイア国の王。
彼の願いもあり、嫁ぐ先はスメイア国にいる「冬蛇の王」ことシムルグ第一王子だった。
この話はとにかく、最初から最後まで夏の申し子のようなリーザの魅力にやられっぱなしでした。
勿論、まるで向日葵のように夢へと直向きな彼女。持ち前の明るさは周りを暖かくさせます。
でも、まるで夏の夕立ちのように、時々臆病になることもあります。けれど、彼女は自分で足を奮い立たせ、雨雲を払い、霜を祓う。
彼女が歌う夏呼びの歌はどれも壮大で、美しいです。
本当に真っ直ぐな少女でとても好感を持てました。
相手のシムルグさんも、なんというか面倒見のいいお兄さんみたいなところが見え隠れしつつ、いい感じの俺様感も。リーザとのやり取りは、少し夫婦漫才感があり、面白いです。
彼自身己の宿命、国の宿命を背負った彼が、リーザとの出会いでどうなっていくのか先が気になります。
ちなみに、私の推しはリーザを助けた王様、ソーカル王。彼の底の見えなさ、本当に本当に本当に気になります。
この素敵な作品を是非読んでいただきたいです!!
北大陸の汪夏帝国に渡ってきた、リーザ。
異邦人ということもあって言葉もたどたどしく、さらに不運が重なり見世物屋の下僕にされてしまう。
そこで披露される「夏を呼ぶ」歌声をきっかけに、スメイア国の王に見初められ、第一王子の元に嫁ぐ。
その者は、「冬蛇の王」と恐れられる、シムルグ。
夏と冬。
相容れない存在だから、逆に合うのか。
ないものねだりではなく、互いに尊重して、且つ補えるからか。
真逆の存在でも、似た境遇を送ってきたからなのか。
二人が惹かれ合うのは必然的な、そんな素敵な物語です。
リーザの「夏呼び」の歌も素晴らしくて、その描写にとても惹かれました。
また、リーザのたどたどしい言葉使いも可愛らしく、それでいて芯の通った強い面も見せてくれる。
故に、二人の行く末を応援したくなりました。
是非、読んでみてください!
凍てつく北大陸に、夏を呼ぶ少女リーザがやってきた。
リーザが歌で呼ぶ夏は、じりじりと肌を焼く嫌な酷暑ではなく、凍った雪や心までもを解かす向日葵のような温かさ。健気でひたむきでいたいけなリーザが息を飲むほど美しい歌を歌う描写に、とても惹き込まれます。夏を呼ぶという特異な体質のせいで虐げられてきた彼女の歌はそれでもなお希望に満ち溢れていますし、「謳おう」と呼び掛けてくれる優しい心根が大好きです。
そんなリーザが、北大陸の北方を支配するスメイア国の王に見初められます。嫁ぎ先は第一王子。でも、王の息子ではない。他の王子たちも血の繋がりはない。特異な王族の設定に隠された凍てつく冬を解かすために、リーザは今日まで生きて来たのだろうなと思いました。この世界観の深みは、ぜひご一読いただいて体感してほしいです。
どこかアラビアンな雰囲気を感じるネーミングや世界観も魅力的です。キーマンである王子たちもみんな個性豊か!お好きなイケメンが一人は見つかるはず!じわじわと火照るような恋愛小説がお好きな方にも、型に嵌らないオリジナル要素の強いファンタジーがお好きな方にもお勧めできます!
これから寒い季節が始まります。きっと人肌が恋しくなるはず。リーザの心地良い熱に身を寄せながら、春を待ちたいと思います。