ファンタジーとして「味わいたい」と思うものをたくさんくれる、素敵な作品でした。
ヴァレリア王国の中で「庭師」として名を馳せているというガデニア。
彼女は、とある貴族の屋敷に呼ばれ、庭を蘇らせることを依頼される。
長女であるデイジーは、継母であるマージョリーや、義妹となった太った娘リリィに虐げられる日々を送っている。デイジーの亡き母が遺してくれた庭すらも、わがままなリリィに奪われようとしていた。
ガデニアはそんなデイジーのためになら庭の手入れをしてもいいと条件を出し、瞬く間にそこを美しいネモフィラでいっぱいにしてみせる。
ガデニアという女性の謎めいた魅力。どことなく「女性版ブラック・ジャック」のような厳しさと、そして人間離れした高い技術。
庭を再生することにより、同時にそこに眠っていた「人の想い」を蘇らせ、わだかまっていた問題も解決してみせる。
更に、彼女の持つ「技術」にはある秘密があり、それがこの世界観に更なる深みを与えてくれているのが素晴らしかったです。
連作でもいいし、長編としてのストーリーでもいいし、もっとこのガデニアの物語を読みたいなと思わされました。
ガデニアはどんな生まれを持ち、どういう経緯でこんな神秘的な技術を持つ存在となったか。彼女の力の根源となる「存在」との過去とか。
とにかくポテンシャルに満ちた作品で、読む人それぞれに様々な感興を与えてくれることと思います。壮大で、そして不思議なあたたかみのある作品、是非とも手に取ってみてください。
本当に素敵なファンタジー作品です。花が咲くシーンが本当に色艶やかで、瞼の裏にその情景が浮かぶようでした。
貴葵さんは人物の丁寧な心情描写や色鮮やかな情景描写が強みだと勝手に感じているのですが、それが十二分に生かされた作品だと思います。本当に大事に丁寧に書かれているのがよく分かりました。この文章を読めば、皆様の瞼の裏にも豊かな色彩が呼び起こされると思います。あと個人的に、キャラクターの発する言葉の独特な言葉遊びと言うべきか、言い回しがすごく好きです。
また、一万字という字数制限のある中で不遇描写やスカッとする展開、世界観の説明まで全て網羅し、きちんと一万字以内(しかもぴったり)に収める技量が素晴らしいです。きっと読んだ皆様も同じように感じることでしょう。同じく文を書いている者として頭が上がりません。
どのように纏められているかは、ぜひ御自分ので確かめてください。
本当に素晴らしい作品をありがとうございました!
(※作者様への感想に書いたものを一部書き直したものです)
たかが庭、されど庭。
庭一つで人生を変えてくれる庭師が森で暮らしていた。
庭師の名前は、ガデニア。偏屈な美女であるが、腕はたしか。
そんな彼女の元には、今日もやっかいかつ難題な庭師の仕事が舞い込んでくる。
この作品、本当に一万文字ですか。
と、言いたくなるほど、濃密でわくわくが詰まった作品。
世界観の描写も色鮮やかで美しく、幻想的でまさに童話のよう。
読んでいるだけで、花や木の香りがぶわっと感じるほどだ。
庭師が人生を変えるなんて、と最初は思うが、読んだら最後。
ガデニア様なら出来る、と言い切れるほどに彼女の手腕は素晴らしい。
勿論、庭だけではなく、ガデニア様。
彼女自身の魅力もたくさん詰まっている。
是非、読んでほしい作品です。
ガデニアは庭師なのに、いつも黒づくめの服を纏っています。その理由はラストまで明かされません。そして不思議な力を持つ庭を造ります。何のために?誰のために?……それは依頼人のためであると同時に、ガデニア自身の喪失感を埋めるためでもあるのでしょう。
花の色、緑の木漏れ日、水の音。その価値を本能的に理解している人のためにしか、庭を造ろうとはしない、不思議な庭師ガデニア。それは彼女自身が美しいものが失われる哀しみを知っているから。そして命の再生の歓びを人々に伝えたいから。そんな美しいファンタジーが、限られた字数の中できちんと回収されていきます。作者様の構成力に脱帽です。
ヴァレリア王国にいる庭師、ガデニア。彼女が手がけた庭には、幸運が舞い込むという噂がある。
平民が大金持ちになり、廃れた店が大繁盛して、大病が完治する。
にわかには信じがたいかもしれない。しかし、これらは全て真実であった。
不思議な力を持つ偏屈で美人な庭師。そんな彼女の元に新たな依頼が舞い込んできた。
魅力的なキャラクター、色鮮やかな表現力、緻密に作り上げられた構成。
そして最後に明かされる物語の根幹。
全5話、1万字の短編小説。それなのに読み終えた後の爽快感と満足感は長編作品にも匹敵する。
この感覚だけは実際に読んでいただかないと味わうことが出来ないと思います。
不思議な庭師が紡ぐ物語。是非、最後までご覧ください!
彼女が庭を手がけたなら、幸運が舞い込む。そんな奇跡の庭を創るヴァレリア王国一の庭師・ガデニアの話は紛れもない真実でした。
庭師の仕事が年中ひっきりなしにやって大変そう。と思いきや、ガデニアは「私は肩書で庭を創ったりしない」と依頼人の前で言い切る芯の強い女性でした。彼女の弟子と交渉人は苦労していそうだと同情しつつも、ふつくしいガデニアに好感度が急上昇してしまうのが不思議です。
義母と義妹にしいたげられる少女のために創る庭は、どのような出来になるのでしょうか。
壮大なハイファンタジーになりそうな予感に、続きを望む方は少なくないはず。カクヨムネクスト賞の受賞をともに祈りましょう!