いつか、再び花開く日まで
- ★★★ Excellent!!!
ガデニアは庭師なのに、いつも黒づくめの服を纏っています。その理由はラストまで明かされません。そして不思議な力を持つ庭を造ります。何のために?誰のために?……それは依頼人のためであると同時に、ガデニア自身の喪失感を埋めるためでもあるのでしょう。
花の色、緑の木漏れ日、水の音。その価値を本能的に理解している人のためにしか、庭を造ろうとはしない、不思議な庭師ガデニア。それは彼女自身が美しいものが失われる哀しみを知っているから。そして命の再生の歓びを人々に伝えたいから。そんな美しいファンタジーが、限られた字数の中できちんと回収されていきます。作者様の構成力に脱帽です。