第10話 ナビちゃんレベルアップ
「あれ?お姉ちゃんおはよう?珍しいね」
「うー……ナビちゃんに起こされた……」
朝食を作りにキッチンに来た私より早く、ダイニングテーブルの席に着いていたお姉ちゃん。まだ寝ぼけているね、パジャマ姿だし。
昨日あの後、銭湯はナビちゃんのトランク収納に入れて、出発した私達。途中で出て来た魔物を駆逐しながら順調に進み、ナビちゃんが見つけた開けた場所に宿泊したんだ。シルバは着いた途端ご飯に行ったみたい。戻って来た頃にはちょっと汚れていたからみんなでブラッシング。シルバにも寝床ちゃんと用意したよ。私達も汚れちゃったから軽くシャワーを浴びて昨日は就寝。
で、今ここなんだけど……
「で、ナビちゃんどうしたの?」
「う〜……レベルアップ?したってぇ……」
ん?レベルアップ‼︎凄いじゃん!
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!早く顔洗って着替えて来て!朝食作っておくから」
「んー……目玉焼き食べたい……」
「うん、作っておくからほらほら!」
寝ぼけお姉ちゃんを洗面所に押し出して、私はキッチンに向かって気合いを入れる。お姉ちゃんが目玉焼き食べたいって時は和食なんだよね。昨日綾ちゃんにサンマ出して貰ったし、サンマと大根おろしにお姉ちゃんは目玉焼き、私達はだし巻き卵と浅漬けでいっかな。後はご飯とお味噌汁っと。
「おはよう、奈津。なに朝から騒いでいたの?」
あ、綾ちゃん起きて来た。綾ちゃんはいつもちゃんと着替えて起きてくるんだよね。そう考えると、1番年上のお姉ちゃんが1番のんびりしてるよねぇ。
「綾ちゃんおはよー!凄いよ!ナビちゃんレベルアップしたって!」
「ええ!ナビちゃんも?」
「ん?『も』って事は綾ちゃんも⁉︎」
「うん!見て見て!」
嬉しそうに見せてくれた綾ちゃんのステータスボードには……
【ネット通販】
・スーパーマーケット
・ドラックストア
・ファッションセンターまつき←NEW!
「きゃああ!まつき入ってる!」
「ね!嬉しいよね!これで服問題も解決だよ!って奈津!魚、魚!」
「うわぁ!ちょっと焦げてるー!」
うっかり綾ちゃんのスキル見てたらサンマ焦がしちゃった。うん、焦がした方を下にすればわかんないよね。どんな服があるのか見たいのを我慢して、とりあえず朝食作りに戻る私。
「んー?どしたのぉ?」
あ、お姉ちゃんも着替えて来たね。あ、ズルい!綾ちゃんと2人で先に服選んでいる!私もみたいのにぃ〜!まぁ、いいや。後でゆっくり見せて貰えばいいか。早く作っちゃお。
お姉ちゃんと綾ちゃんがきゃっきゃっと嬉しそうに選んでいるのを横目にパパッと作る私。我ながら手早くなったもんだ。だって、ナビちゃんのレベルアップも知りたいし、いい加減服もなんとかしたいからね。
そして朝食が出来たら出来たで黙々と食べる私達。あー、でもサンマ美味しい。やっぱり大根おろしとポン酢で食べるの好きだなぁ。白いご飯に合うんだもん。もぐもぐしっかり噛んで食べたらお茶を用意して……
「さあさあ!まずはお姉ちゃん!ナビちゃんのレベルアップ教えて!」
「奈津なんか張り切ってるね?」
「だって2人だけ先に服見てるんだもん。せめてナビちゃんのレベルアップくらい一緒にみたいじゃん」
「ふふっ、なっちゃんご飯作ってくれてありがとうねぇ。うん、じゃ確認してみるね」
【車合成】
・居住空間(亜空間タイプ)←NEW!
・戦闘魔導具←NEW!
トランク収納/魔物タンク/結界/魔導充填機能(初期搭載装備)
「あ、居住空間が新しくなるの⁉︎」
「戦闘魔導具増えるんだって!」
「んー?車は変わらないんだぁ」
居住空間が新しくなる事に思わず喜ぶ私に、戦闘魔導具が増える事に目が行くゲーム好き綾ちゃん。お姉ちゃんは車自体が変化すると思っていたみたい。いやいや、十分凄いって。そしてこの2つのなにが変わったのかお姉ちゃんがタップしたらこんな感じだったの。
居住空間
・2LDK
・3LDK(アイランドキッチン、ウォシュレット付きトイレ、檜風呂、リビング25畳、各部屋10畳) MP15,000
「きゃあ!ウォシュレット機能だ!」
「部屋が増えてるー!」
「檜風呂なんて最高だねぇ」
トイレにウォシュレット機能付いてて嬉しい私に、部屋が増える事で個人部屋が持てる様になる事を喜ぶ綾ちゃん。お姉ちゃんはお風呂が檜が嬉しいみたい。これは早速私と綾ちゃんのお願いが入ったね。お姉ちゃん「よきにはからえ」って遊んでいたけど。
あ、でもやる前にもう一つ確認したんだ。
戦闘魔導具
・ガトリング魔導銃 一丁 MP5,000[現在2丁搭載]
・魔導レーザー砲 一門 MP7,000
・魔導追跡ミサイル 一発 MP1,000
「……ねえ、お姉ちゃん。どこと戦争するつもり?」
「魔導レーザー砲もつけたら国相手でも出来そう……」
「んー?対魔物用じゃないの?」
私はミサイルがある事に戦慄し、綾ちゃんは全装備つけた事想定してるし。お姉ちゃんは普通に対魔物用って言うけど、そこまで凄い魔物相手にするつもりなんだ……凄い。
ともかく戦闘魔導具は置いといて、早速お姉ちゃんに居住空間をレベルアップして貰ったんだ。念のため全員外に出てるよ。シルバったら外にみんなが居て嬉しそうに尻尾振ってる。あーシルバも寂しいよねぇ。なんとかなんないかなぁ?
『皆さんお待たせ致しました。居住空間のレベルアップが完了致しました。そして居住空間入り口は右側後部座席ドアに変更になりました。どうぞご確認下さい』
ナビちゃんの報告が終わると早速中を確認。
「あ、後部座席のドア、スライドになってる。しかも間口広いよ!」
「もしかしたらシルバちゃんも入れたりして」
「だったら良いなぁ」
綾ちゃんがドアを早速全開にしたんだ。その入り口の広さにお姉ちゃんもシルバが入れるかもって話してる。私も同意したんだけど、……本当に入れそうだよ?
ともかくシルバにはちょっと待って貰って私達で確認。ドアを開けると広い玄関に広い廊下。左右に部屋が三つと浴室洗面所におトイレがあったの。まずは個室確認しちゃうよね!
一つは私達が使っていた畳の間がそのまま移動していたの。もう二つはガランとしたフローリングの部屋。綾ちゃんたらお姉ちゃんにこの部屋を是非!ってお願いしてたなぁ。私もついでにお願いしちゃったけど。畳の間はお姉ちゃんがそのまま使いたいって言ってたから丁度いい感じ。うん、今日はこの後は部屋作りだね!
でもまずリビングとキッチンも確認しなくちゃ。というか廊下の天井が凄く高くなってる……本当にシルバ入れそう。リビングの入り口も引き戸になってるし。中はどうなっているの?
「うわぁ!すっごい広い!」
「あ、家具そのままあったね」
「アイランドキッチンだぁ‼︎」
1番に入った綾ちゃんは広さにびっくり。いきなり25畳だもんね。お姉ちゃんは既存の家具の心配してたのか……まあ、レベルアップのたびに無くなったら確かに悲しいからね。私はカントリー調のアイランドキッチンに感激!しかもカウンター付きの方には洗い場だけで、壁側にIHコンロがある!この配置は嬉しい!白いタイルに木の優しい色合いが素敵だし気分良く料理できそう。
「ねぇねぇ、リビングの奥にシルバちゃんの寝る場所作れそうじゃない?」
「あー、余裕でありそうだねぇ」
「私シルバ連れて来てみる!」
綾ちゃんもお姉ちゃんもシルバの事考えてくれてたんだ!私も嬉しくなって玄関から首を覗かせていたシルバの元に走っていっちゃった。あ、でも足の裏ちゃんと水拭きしないと。タオルタオル……
シルバの足の裏を片足ずつ拭いて入ってもらうと、ちゃんとシルバも廊下通れたんだ!結構余裕もあるね。
リビングも天井高いし、シルバが入っても余裕があったんだ。しかも、お姉ちゃんと綾ちゃんがシルバのお気に入りのカーペットとクッション用意してくれてたんだ。シルバったら、尻尾振って匂いを嗅いでぐるぐる回ったと思ったら、クッションの上に頭乗せて気持ち良さそうに横になったの。
「うふふっ。シルバちゃんと一緒に横になれるのー」
お姉ちゃんったらパフッとシルバのお腹のところに抱きついちゃって。……気持ち良さそうだなぁ。
「くっ!佳織さんとシルバの誘惑に負ける前に、奈津!部屋を作っちゃお!」
「おおー!」
お姉ちゃんはそのまま気持ち良さそうにシルバと一緒に横になっていたから、私と綾ちゃんは出来立てのマイルームを作りに行ったの。
ハウジングの家具からシングルベッドMP18,000×2、ラグカーペットMP5,000×2を購入。綾ちゃんはベージュ、私はグリーンにしたんだ。カーテンまでは買えなかったからこれは明日以降だね。
お姉ちゃんの部屋もやらなきゃいけないし、しばらく部屋の模様がえかな。私のスキルのお試しはもうちょっと後になりそう。
そうそう、やっぱりウォシュレットと檜風呂最高だったよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。