概要
その面影が、瞼から消えたことはなかった。ただの一秒も。
厳しい父親の元、ままならない空気の中で育った美織。親の意のままに生きることしかできず、望まぬ結婚をした末の冷ややかな家庭環境に、ある夜美織の心の糸がふつりと切れた。
瞼に浮かべる面影は、いつもひとつだけ。どれだけ時が過ぎても。
カクヨム公式自主企画「百合小説」文芸百合部門参加作品です。
瞼に浮かべる面影は、いつもひとつだけ。どれだけ時が過ぎても。
カクヨム公式自主企画「百合小説」文芸百合部門参加作品です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!三十年を経ても、変わらない想いがあった。
主人公の女性は、男尊女卑の中で育った。就職していたが、父の道具のように扱われ、見合い結婚して、会社も辞めて専業主婦となる。夫と一人息子との関係は、冷え込んでいる。夫の家庭もまた、男尊女卑だったからだ。もう限界だと思った主人公は、部屋で電話をかける。三十年前から関係が途切れていた女友達は、すぐに電話に出てくれた。
主人公は女友達に会うために、海の近くの土地に降り立った。そこには、三十年前から変わらない笑顔を浮かべる女友達がいた。男に混じって働く彼女。一方で、擦れ切った自分。主人公は、三十年前の出来事を、女友達に謝ろうとしていた。
忘れ得ぬ三十年前の出来事。
何故、二人は離れ離れになっ…続きを読む