概要
人間というものは、いくら栄耀栄華をしても、はかないものだと思ったのです
角川文庫『トロッコ・一塊の土』所収。(※キャッチコピーは本文抜粋)
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!試されていたのは、どちらだったのか?
芥川龍之介の小説にはいろいろな解釈を許容するものが多くて、この「仙人」もそのひとつだと思います。
書かれてあることを素直に読むと、純粋な青年、権助が信念をつらぬいて医者夫婦に誠実につかえた結果、ついに念願の仙人となる――そんな教訓じみた物語と受け取ることができます。
でも私はここで、別の解釈を提案したい。
権助は最初から、神や仙人といった、人知を超えた存在だったのではないでしょうか。
物語の冒頭で、権助は「ただ飯炊き奉公に来た男」とだけ紹介されています。
それ以外の素性はなにも明かされず、まさに謎の人物です。
そして、神仏は時に物乞いなどのみすぼらしい姿で現れ、人々を試すという伝承もあり…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この名作文学、『令和』の世ではどう読まれる!?
あなたの近くに、こんな方はいらっしゃらないでしょうか? 親戚のご子息かもしれないし、あなた自身の子供、または兄弟かもしれない。
「ねえねえ! 僕、この『仙人』って話を読んで感動したよ! 会社の新人研修の時、みんなで読んだんだ!」
もし、そのような話をしている人を見つけたら、全力で説得してあげてください。
『その会社、すぐ辞めなさい』と。
芥川龍之介の『仙人』は、とても感動的な物語です。
『仙人』になりたいと夢を持つ青年。そんな青年の熱意に付け入り、『文句も言わずに自分たちの元で働けば仙人になれるよ』と嘘を吹き込む悪徳な人間。
青年は馬鹿正直にその嘘を信じ込み、何年間も…続きを読む