この名作文学、『令和』の世ではどう読まれる!?
- ★★★ Excellent!!!
あなたの近くに、こんな方はいらっしゃらないでしょうか? 親戚のご子息かもしれないし、あなた自身の子供、または兄弟かもしれない。
「ねえねえ! 僕、この『仙人』って話を読んで感動したよ! 会社の新人研修の時、みんなで読んだんだ!」
もし、そのような話をしている人を見つけたら、全力で説得してあげてください。
『その会社、すぐ辞めなさい』と。
芥川龍之介の『仙人』は、とても感動的な物語です。
『仙人』になりたいと夢を持つ青年。そんな青年の熱意に付け入り、『文句も言わずに自分たちの元で働けば仙人になれるよ』と嘘を吹き込む悪徳な人間。
青年は馬鹿正直にその嘘を信じ込み、何年間も過酷な労働に耐え続ける。
そして、青年が迎える結末は……?
この話のような状況は、これまでの日本ではあちこちで語られていた出来事でもあります。
『とにかく〇〇年、頑張って働け。そうすれば報われるから』
ブラック企業やパワハラ、働き方改革などの概念もなく、ひたすら会社に尽くすことが美徳とされた時代。その時代が終わりを告げた今、この小説の評価はどうなっていくのか。
ある意味で、『ブラック企業の聖書』とも言えるこの小説。もし未読ならば、目を通しておいて損はないでしょう。