可愛いだけじゃ終わらない。読後ホロリとくる、切ないラッコの物語

 読み終わった後に、しみじみと感じ入るタイプの作品でした。

 主人公のリロくんは、水族館にいるラッコです。そんなリロくんが理想の伴侶を得て、とても深い愛情を抱くようになります。

 そんなリロくんの「愛」に満ちた生涯が描かれるのですが、それがとてもジーンと来る話になっていました。 
 普段テレビなどで見慣れている可愛らしい動物たち。でも、そんな動物たちにだって伴侶にたいする愛情だってあるだろうし、可愛さの裏では色々と考えているかもしれません。

 彼らは飼育される身であり、生涯で手に入るものは「与えられるもの」に過ぎません。それでも、自分の境遇の中で巡り合えたものを必死に大事に想う。そんなリロくんの切ない心情が強烈に描き出され、強く感じ入らされます。

 ラッコなどの可愛らしい動物たち。そんな動物たちへの見方が少し変わるかもしれない、ホロリと来る作品でした。