忌み嫌われる眼を持つ少女は、それでも真実からその眼を逸らさない。

記憶喪失の青年、足桐蒼起。
魔眼を持つ少女、秘美弥凍。

目が見えない凍にとって蒼起は杖であり、記憶を失う前の蒼起を知っている凍は彼にとって杖である。
お互いがお互いになくてはならない存在。恋人ともバディともまた違う不思議な絆で結ばれた二人が、魔眼が関係する殺人事件の捜査協力を受けたところから物語は始まる。そして、舞台は山奥に潜む「夢占いの館」へ――。

事件が起きて、謎を解く。この基本的な主軸をどう彩っていくかがミステリー小説を書く上での醍醐味かと思います。作者様はそこに「魔眼」というファンタジー要素を選ばれました。
秘見弥という一族に伝わる、人の心に干渉する力を持つ不思議な瞳。凍の場合は嘘や隠し事を見抜ける。そんな人智を越えた力を使ってチートで解決……というわけではなく。推理をするのは凍の杖である蒼起。そして彼から得た情報で真相を語るのは凍のもう一つの眼。ラストまで二人は表裏一体でした。それが、このミステリーをより奥深いものにしてくれました。

タイトルにある二重密室に挑む二人の賢明な推理と、「ダブルロック」がかけられた様々な真実を目の当たりにして、きっと圧倒されるでしょう。

緻密な文章力で綴られる記憶と視界が交差するライトミステリーに、あなたも没入してみませんか?

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