師走16

寒い日はアラームよりも早く目が覚める。

といっても今日は早すぎる。

午前3時45分

深夜とも言いにくい微妙な時間。

ただ早朝でもない。


とりあえず、スウェットのままベランダにでる。

ゴミを片付けたので少し綺麗になっている。


そこから見える道路には車も人も確認できない。

交差点の信号が誰にも見られることなく仕事をこなしていた。


冬の夜空はいつだって綺麗で静かだ。

タバコに火をつけて煙を見つめる。


12月に入ると時間の流れが急加速する。

毎年僕は、置いて行かれる気持ちになる。

きっと今年も変わらない。

そのスピードに食らいつくだけだ。


まだ身体は先日の怪我で本調子ではない。

だけど、最近僕は楽しい。


なぜかはイマイチわからない。



いや…本当はなんとなくわかっている。

だけど、わからないフリをしておく。

面倒だから。



僕は早生まれだ。

まだ16歳。

もう16歳。


頭の中は面倒なことばかり。

だけど少し明日が楽しみだ。


師走の冷たい空気がくだらない僕のセンチメンタルを凍らせた。


もう一本タバコを吸ったらもう一度寝てみよう。


働き続ける信号よ。

話を聞いてくれてありがとう。

僕はきみの仕事ぶりを見ていたよ。


それでは。おやすみなさい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る