暇と収入

僕はバイトをしていない。

なぜか、バイトの面接に受かることがない。

5個受けて諦めた。

収入源は父親の解体屋の手伝いと

ナオキの依頼と

良くない先輩達へナオキから捨てられた女を紹介する仕事だ。


それで賄っている。

あのナオキですら、バイトをしている。

僕は一体なにをしているんだろう。

と、考えながら部屋で寝ながらタバコを吸っていた。寂しくない。寂しくはないが、生活に潤いはない。


知らぬ間に寝てしまっていたようだ。

ケータイにはよくわからない女からメールが来ている。

「今何してる?」

僕は

「暇してるよー」と返す。

嘘はついていないが、

だからといって女に渡す時間はない。


「ちょっと会えないかなぁ?」


ほらな、めんどくさい。

でも暇だしタバコないし、ついでに行くか。


そうして会うことになった。

赤いプーマのジャージをきて出かけた。

途中のコンビニでタバコと炭酸ジュースを買って外に出ると、外に女が待っていた。

自転車で来たらしい。


その女の隣にはもう1人女が立っていた。

どこかで見たことがあるけど誰だ?


「やあ」

僕は右手をあげた。


女は

「出てきてくれてありがと!断られるかと思ったよ〜」と馴れ馴れしく話し始めた。


すると、

「普通にヤンキーじゃん。大丈夫なの?この人で」

と隣の女が話し始めた。


なんだこいつ…と、腹がたった。


女は

「この子はサヤカ。ほら、6組のわからないかな?」

いや、こんな失礼な奴は知らない。


サヤカはくすくす笑いながら

「知らないでしょ。私だって知らないんだから」と俺が答えるより先に喋り出した。


直感でわかった。こいつ苦手だ。


早く用件聞いて帰ろうと思い、

「で、どうしたの?なにかあった?」と僕は聞いた。

女は申し訳なさそうに

「サヤカに好きな人がいて、何回かフラれてるんだけどね。実際にその好きな人に彼女とかいないのか聞いて欲しいんだよね?あと素性も調べて欲しいの」


またそういう系か…

「まぁ。いいよ。誰が好きなの?」


「えっと。3組の森くん」

恥ずかしそうにサヤカが答えた。


「あぁ。野球部のね。いいよ。で?いくらくれる?」

僕はギャラ交渉をした。

「うーん。これでどう?」と、サヤカはポケットから千円札をだした。


僕は千円札をすぐに取り、

「あんたの連絡先を教えてほしいのと、7日間くらい猶予がほしい」と伝え向こうもそれで納得して

今日の商談は終わった。


帰宅中

珍しく僕はイライラしていた。

こんなことなんでしなければ、いけないのか…

そして何故すぐに千円なんかで引き受けたのか。自分に対して腹が立っていた。

また、明日から忙しい。


面倒だ。本当に面倒だ。

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