化けの皮
僕はまるで探偵のように、
森のことを調べていた。
この4日間でわかっているのは
彼女も好きな女もいないこと。
たまに怖そうな人達といること。
部活では1年生に厳しくしていて時に暴力をふるうこと。
森のことを好きになった女にろくなことがないということ。
あくまでも本人から聞いたわけではないから、確証はない。
ただの噂だ。
でも、僕は森がきな臭くて仕方がなかった。
その事をサヤカに言えずにいた。
学校について下駄箱で上靴に履き替えている時に後ろから
ドンッとなにかがぶつかってきた。
「おっとーごめんなさーい!」
サヤカだ。
こいつはこんなウザい挨拶しかできないのか。と思いながら上靴に残りのカカトをしまって歩き始めた。
「ねぇねぇ!どんな感じなの?彼女いないよね?」
と、誰が聞いてるのかもわからない状況なのでかなり小声で聞いてくる。
僕は「わからん。もう少し待て」と答えた。
そこに離れたところから「セイタ!女と歩いてんじゃん!」とナオキがヘラヘラしながらやってきた。
あぁ
めんどくさいのが増えたとうんざりしながら歩くのはやめなかった。
「セイタ、こないだの件わかったことあるらしいから聞いてくるわ。一緒にいく?」
と、ナオキも小声で聞いてきた。
僕は
「ごめん。俺は今日は行けないわ」と答えた。
「そうか…わかったよ。でも、いろいろ俺ら自由にやらせてもらってるからさ、たまには顔だせよな」
「うん。ごめん」僕は素直に謝った。
なんだよ。自由にやらせてもらってるって…
「じゃ!また話したいこともあるから連絡するわ!」
ナオキはケータイ片手に走っていった。
「ねぇセイタはさ。ナオキさんの親友なんでしょ?」サヤカが後ろから質問してきた。
「親友かぁ…親友なのかな?わかんないわ」と返した。
その日の授業は「親友」という言葉に引っかかって集中できなかった。
休み時間もぼーっと親友ってなんだ?と考えてしまっていた。
サヤカのせいだ。全く余計なことばかり言う女だ。
短い休み時間が後半に入った頃、俺の席の近くに何人かが近づいてくるのに気づいた。
中途半端に不良っぽくしているダサい奴らだった。
その真ん中にターゲットである森がいた。
森は僕に
「お前セイタだろ?」と聞いてきたので
「あんたは森だろ?」と返事をした。
森は「やっと話せた!友達になりたかったんだよー」と近づいてきて、僕の机に手を乗せて
「お前なんで俺のこと調べてんの?やめてくんないかな?」と小声で明らかに威嚇をしてきている。
小声でしか話せない奴しかいないのかよ。と思いながら
「きみに興味がすこーしだけあってね。気を悪くさせたならごめんね」と笑顔で答えた。
森は笑顔になり最後に
「あんまり知りすぎると痛い目見るぞ?やめとけ。な?」と念押しをしてきた。
「わかったよ。とりあえずきみが部活以外では中途半端でダサい奴らと一緒に行動をしてるっていうことが知れたからもういいよ。」とこちらも笑顔で返した。
ちょうどチャイムが鳴り森軍団は教室から出ていった。
これで充分だろ
森はほぼ黒だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます