概要
いまの世の中で、一ばん美しいのは犠牲者です。
没落貴族のかず子は、華麗に滅ぶべく道ならぬ恋に溺れていく。最後の貴婦人である母と、麻薬に溺れ破滅する弟・直治、無頼な生活を送る小説家・上原。戦後の混乱の中を生きる4人の滅びの美を描く。角川文庫『斜陽』所収。
(※キャッチコピーは本文抜粋)
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!砂糖菓子
太宰治の代表作、だろう。人間失格とならび。
人間失格とならべたとき、私は迷うことなく本作をとるものだが。
志賀直哉に、貴族のことば遣いではないと言われたと、太宰治はいきり立ち、お前(志賀直哉)のものこそ、そうじゃないかと言ったそうで、志賀直哉はともかく、そんなことでヒストリーを起こすほどでもなく、それが太宰治のよくもわるくも個性とはいえそうだ。『如是我聞』など著しい。私は『如是我聞』が、太宰治のなかでは好きなのだが。
本作は、太田治子の母親がモデルになっている。彼女の手記やはなしを使い、創作されている。太宰治が目をつけただけあり、魅力的な感性をもつ方。なにせ、太宰治を自分が好きで好きでたま…続きを読む