概要
「なんで、みんなみたいに悔しくないんだろう……」
高校時代、吹奏楽部の夏の大会で大きな挫折を味わった金海いちか。
もう楽器はやらないと決め、寂しい大学生活を送っていたある日、
ビッグバンドの甲子園『ヤマノビックバンドジャズコンテスト』に誘われ、その熱さに強く惹かれてしまう。
高校時代の後悔を晴らすため、意を決してビッグバンド部に飛び込んだいちかだったが、部は問題多数&解散寸前で……
部の存続へ、そして、夢の大会出場へ。
不器用な女子大生は、ジャズの世界へ挑み成長していく。
【作者から】
第7話は最高なので、そこまで読んでもらえるだけで、ちょー嬉しいです……!✨
改稿前は応援コメント320
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心の向きを知る。好きなものを好きと言うために。
本作の題材はジャズ。しかし、身構える必要はなく、むしろ気楽に読み進められる内容となっております。
というのも高校生編から始まっておりまして、ジャズではなく吹奏楽。この辺りは経験などなくても、校内の練習くらいは誰でも見たことがあるかと思います。
詳しい内容は読んでみてほしいのですが、ざっくり説明しますと主人公は将来的に進むべき道を見失っていた。何がしたい。何になりたい。そういったものを考えられなかったわけです。つまり遠回りすることになり、迷走していたと言うべき時間が綴られることに。
ただその期間は主人公の人となりや考えを推し量る期間にもなっておりますし、イベントも充実しておりますので飽き…続きを読む - ★★★ Excellent!!!エンジョイ勢と求道者。どちらの青春も一度きり
音楽に限らず、芸の道を行く者にはだいたい二種の人間がいるものです。
エンジョイ勢とガチ勢。この二種類。
その間には深い溝と価値観の相違があり、時には意見が衝突することも…。
この話の主人公もどちらかと言えばエンジョイ勢よりで、ガチ勢の努力を冷めた目で見つめています。所属する部活を辞めたいとすら思っていました。けれど、ついていけない、辞めるの繰り返しでいったい何が残るのでしょうか…その先にあるものは?
一方でガチ勢の副部長も努力が報われているとは言えず、周りの理解も得られず、辛い思いをしてばかり。
両者はやがて同じ疑問に行き当たるのです。
「私の青春は、人生は、これで良いのだろうか?」と…続きを読む - ★★★ Excellent!!!触れれば肌が切れるような。強く強く引き絞られた「アオハル」を駆けろ
たとえば、自分がいちかや彼女を取り巻くひとたちと同じくらいだったころ。
こんなにも切実にひたむきに、何かへ打ち込んだことが果たしてあっただろうか。
ままならないことや終わってしまうことが辛くて悔しくて、後悔に涙を流すほどに何かを追い求めたことが果たしてあっただろうか。
手が届くかもわからない高み、それでも誰かがそこに立つのだろうその場所を目指して足掻き苦しみ、時には周りを振り回して挙句に自分も傷つくような。そんな目標を持ったことが一度だってあっただろうか。
スポットライトの当たるそこへたどり着いた誰かを見上げて暗がりに佇む自分、あるいはスポットライトを浴びて選ばれた舞台に立つ自分を、そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心を一つにする事の大変さを描いた稀有な青春小説
メンバーが心を一つに一つの目的に向かって全力で邁進する青春小説は、数限りなく描かれてきました。しかしそんな至福の青春を送れた人は、どれだけいるでしょうか?
多くの人はむしろ「不完全燃焼」のまま青春を終え、「本気で駆け抜ける青春」に憧れたまま過ごしているのではないでしょうか。
この作品は、「人が集まり一緒に何かをする」事の難しさや苦味を真正面から描いた稀有な青春小説です。
人が「本気出したい」という時期は様々です。そしてサークル活動ではメンバーの目的、技量、熱意もバラバラ。そんな中、一人の思いが先走る事で誰かを深く傷付けもする……。
そんな痛みを伴う青春時代の思い出が、読みながら走馬灯の如く甦…続きを読む - ★★★ Excellent!!!もう二度と後悔はしない。みんなに届け!心を込めた魂のサウンド♬
やる気のない高校時代の吹奏楽部の大会で味わった後悔。もう二度とサックスは吹かないと決めていたはずなのに……。
大学に入ってからの不思議な縁によって、主人公の「金海いちか」は、ジャズの世界に魅了されていく。
過去の後悔を断ち切れない、いちか。それでも音楽の道を歩みたいと思う葛藤の中、時間だけはズルズルと過ぎ去っていく。
セルリアンブルー・ジャズ・オーケストラに入部するが……。容姿端麗の部長の翠や、クセの強いトランぺッターの碧音に振り回されていく……。
高校時代の同じ部員だった美雪との再会による、蘇る過去の後悔。翠の過去のトラウマが部員の絆を切り裂いて、部内は壊滅状態まで追い込まれてしまう。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ページからジャズの音色がほとばしる。それぞれの再起をかけた青春
なにかに真剣に取り組むことを避け、引いた姿勢で物事を見ていた主人公が、あるきっかけでジャズの世界に飛び込み、失っていたものを取り戻すべく音楽に青春をかけていく物語。
悔しさと虚しさを覚える、胸を掴まれるような序盤から、ビッグバンドジャズとの出会い、そして夢に見たコンクールへの道のり。
主人公の成長の過程が、ユーモアのある会話と丁寧な心情描写とともに、テンポのよいストーリー展開で描かれ、青春が息を吹き返す様子が生き生きと伝わってきます。
主人公に負けない存在感を放つバンドのメンバーも魅力的です。明るさと葛藤を内包する彼らの、それぞれの再起をかけた挑戦もこの作品のもうひとつの見どころ。彼らの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文字という旋律でJAZZが奏でられる(´▽`)
私も実は、JAZZバンドを趣味でしております。
といっても、遊びですのでそこまで詳しくありませんが。
それでも、分かることがあります。
このお話は間違いなく、JAZZです。
プレイヤーの気持ち、欲しい音や、合せたいタイミングなど、この物語はスタジオでの音合わせや、ちょっとだけお店で引かせてもらうあの空気の、そんなワクワクを毎回頂けるのです。
ビッグバンドとトリオ/カルテットとの違いや、大学やホールとBAR等との違い等はありますけれど、ただそれが違うだけで、私が楽しませて頂いているJAZZ音楽が根本にあり、1文字1文字の旋律により奏でられています。
とても素直で青春のお話なのですが、物…続きを読む