極めてリアリスティックな異世界転移×サバイバル×群像劇

ただの異世界転移のジャンルと呼ぶにはあまりにも軽々し過ぎるかもしれない。そこにあるのは濃密な人間ドラマと、未知の世界で踠き工夫しながら生きていこうと頑張る人達の姿があります。

物語の始まりは、職員室とその周辺一角もろとも異世界へと転移してしまったことから。転移に巻き込まれたのは一人だけではなく、先生と生徒など多くを含めています。

会議を通して方針を決めたり、役割分担で活動、サバイバル術の応用で生活を凌いでいく……などなど、かなりリアルな描写が成されており、今までの異世界ファンタジーとは毛並みが違うことが感じ取れました。

本作は群像劇の面が前面に出ているので、キャラクターの皆がそれぞれ主役と定義して読むべき話と言えるでしょう。
ステータスやチート、ハーレムといったお決まりの内容はなく、とても現実的な問題として異世界転移に対処する物語の構成が却って新鮮なものとなっています。
しかし、それが本作の強みと面白いところだと伝えたいです。
現地人と少しずつ文化的な交流をしていく所が特に見所で、そこから彼らがどのように異世界に馴染んでいくのか先が楽しみです。

本作は、異世界転移をリアルな視点で描いた大人向けファンタジーと形容すべきでしょうか……。
是非とも中身を見て体感して頂きたいと願います。

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