第4話 次のスペースは◯◯になりまーす♪

 これから自室になる艦長室を後にしてルナについて行くと、

 「こちらの4部屋が二人部屋、2部屋が一人部屋となっています。現在はこの人数分の部屋しか用意されておりませんので、これ以上増やす場合はディーラーやチューンショップにて調整していただく必要がございます。今は私と灯護しかいないので後回しにします。そして、この先にあるのが共有スペースとなっております。」

 「共有スペース?」

 日本では完全に一人でヒッキーをしていたので聞き慣れない言葉に首を傾げる。

 「はい、マッサージチェアを使用した休憩や自動調理器を使用した食事、後はモニターなどを使用した娯楽やスピーカーから音楽を流す事も可能となっております。」

 「・・・なんか随分と優雅なスペースだな?・・・ていうか、あの自動調理器、どこかで見たことがあるような?」

 俺が自動調理器に既視感を覚え、首を捻って見ていると、

 「それはありえません、あの自動調理器は当艦のオリジナル自動調理器で、セブンスターズと呼ばれる最高級の自動調理器です!あの自動調理器を再現するのはまず不可能です!」

 「・・・不可能と言い切れるレベルでメシが美味いのか?まぁいいや、案内が終わった後に試させてもらう、他は?あそこはどこに繋がってんだ?」

 ルナの静かで丁寧な否定を聞いてなぜだかよく分からないが深く理由を聞くのはやめた方が良いと判断したので、そのまま次を諭すように入ってきた場所とは違う出入り口の事を質問する。

 「あちらはシャワーバスルームとトイレットスペースと一体になったエチケットルームとトイレットルームが2つずつとなっております。」

 「まぁ、最大で10人以上みたいだし、必要だよな・・・でも化粧室はわざわざ付ける必要があったのかは分からないな?」

 女性をクルーとして乗せる縁が俺にあるとは思えないからな。

 とりあえずシャワーバスルームを覗いてみる。

 「・・・おぉ~、床が変形してバスタブになったするのか、後でゆっくりと入らせてもらおう・・・!?」

 「更にサウナルームの機能もございます。」

 「高級住宅か!?」

 余りにも多機能なシャワーバスルームに思わずツッコミを入れてから、次の場所を案内してもらう。


 「次は医療スペースとなっております」

 次にルナに案内された場所はどう見ても医務室、但し未来的なベット?というかポットが置いてあるが医務室だった。

 「傷薬であれば各種取り揃えてますが、病気に対する薬はこのしかございませんので数に限りがございますので、早めにお揃えになる事をオススメします。」

 「・・・今、万能薬って言った?え?この世界だとこういうのが普通なの?」

 恐らく、裏だと永遠の命だと思うが、表側だと万能薬の精製は医学界の夢だと思うのだが?

 「はい、このお薬は私の創造主によって用意された物となりますので、復元及び複製はかなりの年数がかかると思われます。具体的な年数は百年単位でかかると思われます。」

 「あ、ハイ、そうだと思いました。」

 積荷を確認する前に特級の厄介な代物がこの場でエントリーだ!?この戦闘能力に加えて備品類にもヤバイモノが紛れているとかどうするんだよ!?確かにそんな代物があれば安心だ、だがこの世界のテクノロジーでまだ作ることの出来ない代物などバレたら、俺が完全に目を付けられるのは確実。最悪飼い殺しの可能性もある。

 「大丈夫ですよ灯護。あなたならワンパンでどうにか出来ます。」

 「そういう問題じゃないんだよォオォォォォォ!!?」

 俺、思わず絶叫・・・誰か助けて・・・僕のニートライフを返して・・・

 「灯護は、少々お疲れの様ですが、後、一か所案内すれば全部になりますので頑張って下さい。」

 「・・・ウ〜ッス・・・」

 激しくテンションを下げながら俺はルナの案内について行く。


 途中でトレーニングルームを覗き、普通にジムみたいな内装を確認してから最後のスペースを確認に行く。

 最後のスペースはカーゴスペースだ、もうここを確認しないとどんなトラブルが起こるか分かったモノじゃないが激しくイヤだ・・・

 「こちらがカーゴスペースとなります。あちらは武器庫、ウェポンカーゴとなっております。バトルスーツもあちらにあります。」

 「はぁ~、先に積荷の確認かな・・・武器庫は後でにしよう、また上げて下がるのはちょっと今のテンションだと厳しい・・・不貞寝も出来ないし・・・」

 この状況で不貞寝なぞ死にたいと言っているようなモノだ、俺はまだ死にとうない。

 「情報端末の項目から調べたい品を選んでいただけたら案内しますが?」

 ルナがそういうので、

 「・・・なら、さっきの宙賊どもが襲ってきた理由を調べておきたい。」

 「畏まりました、灯護。・・・コチラが彼らに目を付けられた理由だと思われます。」

 そう言ってルナが見せてくれたのは金属の塊、ゲームでは所謂マテリアルと呼ばれる代物だった。

 「あ~、アイアンからプラチナまであるのか・・・しかも、こっちのコレ、ヒヒイロカネとオリハルコンに?コレ、ひょっとしてダークマターか?量は少ないが最強装備を一つは作れるぞ?ダークマターは分からないがヒヒイロカネとオリハルコンは間違いなく高価だな・・・いや、下手すると未発見である可能性も・・・どうするんだよ、コレ・・・」

 「灯護、先程から悩んでおりますがなるようにしかなりませんよ?」

 「放っといて!?というか微妙に戦闘になる事を期待してない!?」

 「・・・そのような事はありませんよ?では、武器庫の方も案内致します。」

 返答時の微妙な間に俺は嘘だ!?と思いつつルナについて行った。


 武器庫にはビッシリと武器が並んでおり、中には俺の愛用の品もあった。

 「・・・神刀 カグツチ、と正宗に魔剣レヴァンテイン・・・このバトルスーツは・・・ベルセルクか、ステータスの上がり幅がヤバイ奴だぞ!?・・・重火器も一通り、魔導銃もあるな・・・生身でも戦争出来そうな装備だ・・・槍もロンギヌスにグングニル、戦斧はサタンブローバー、盾はイージスの盾、更に極めつけが万能十徳ナイフのようなスーパーウェポン・・・各種グレネードも揃っているようだし、この世界でワンマンアーミーとか異世界のランボーとかどんだけだよ・・・」

 「通常の軍隊など眼じゃありませんね!」

 ゲームでしか見ることの出来ない、触れる事も出来ない代物を一つ一つ見ていき手に取り、構え戻す。

 その作業を繰り返すうちに現実的にワンマンアーミーが可能な事に気づいたがその事実にまた頭を抱える。


 武器庫の中を確認終わった所で空腹感を感じたと思ったら、腹が鳴った。

 「灯護、案内は以上ですので、後は共有スペースで食事をしていただき、その後シャワーでも浴びて自室で休んでいただくのがよろしいかと思います。私は少し秘密工作を・・・」

 「ん?今なんて言った?」

 「いえ、何でもありません。灯護はゆっくりと休んでください。」

 「???」

 ルナに一抹の不安がよぎるが、空腹を覚えているのも事実、素直にメシを食いに行った。

 モニターパネルをポチポチしてメニューを確認する。

 「・・・米あるんだ、丼ものもあるし・・・うな丼作れるとかどんだけ!?牛丼も捨てがたいが・・・とりあえずうな丼でいいかな」

 そうして俺はうな丼をリクエストして暫し待つと、

 チ~ンという音と共にうな丼が出てきた。

 「レトルトか!?いや、あまり変わらないのかもしれないけれども!?」

 そう言いつつもテーブルに着いて箸を持つ。

 「いっただきま~す」

 そうしてパクリと一口、

 「・・・旨っ!?」

 米一粒一粒にタレが染み込みつつもウナギの脂と身の柔らかさが更に米の味を引き出していた。

 気づいた時には一心不乱に米を食べ尽くしており、米一粒残さず食べた所で我に帰る。

 「・・・ご馳走さまでした。」

 自動調理器の横の自動洗浄機に食器を戻して、俺は一旦自室になる艦長室に向かう。

 「下着類とかあればいいが・・・」

 そんな心配も杞憂で終わり、着替えを持ってシャワーバスルームに入る。

 そして、鏡に映る自身を見て愕然とする。

 「誰だ?コレ?」

 鏡に映る自分は超長身のゴリマッチョ、しかも若い・・・20歳前後に見える。

 その後、一糸まとわぬ状態で鏡の前でポージングする。

 「・・・って変態か!?」

 格闘技のプロのようなゴリゴリの身体付きに、顔も結構イケメン、更にビッグマグナムを標準装備ときた。

 「・・・って下ネタか!?アホな事やってないで風呂だ、フロ!?」

 自分の姿に関する疑念よりもその中身のスペックの方が問題であることを思い出して、俺はひとりツッコミを繰り出してから汗を流した。

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