第11話 只今、白兵戦テスト中
タンク系の戦闘ポットを全て斬り捨てた俺は、今度はスピードタイプの戦闘ポット達を標的として
が、スピードタイプはすぐに距離を取ろうと動き回る。
(高機動タイプ特有の高速撹乱か、けど普通に追いつけそうだな・・・)
そう思った俺は普通に戦闘ポットを追いかけ回す。
「・・・うん、深刻なくらい人間ヤメてるけど考えないようにしよう。」
あっさりと追いついたので、片っ端からそのまますれ違い様に膾切りにしてやる。
「月花の太刀、四の型、
スピードタイプの小型はコレで全て仕留めたが、中型は流石にまだ動いている、だが、要の脚を斬り落としたので確実にスピードダウンしている。
こうなるとディメンジョン・スラッシュを当てるのは難しくないので容赦無く放つ。
中型も沈黙を確認したので、残りのコマンダータイプを仕留める為にそちらに向き直る。
「・・・ば、化け物だ・・・」
なんか失礼な言葉が聞こえたが、気にせずに斬りかかる。
「恨むならそこの能無しを恨め・・・」
俺はディメンジョン・ステップと通常の踏み込みを使い分けながら戦闘ポット小隊に肉薄する。
戦闘が始まってから戦闘ポットはレーザーを乱射しているが俺の目にはそのスピードはどんどん落ちている。
それどころか止まって見える。
異常だが、気にしても仕方ないので容赦無く切り捨てる事とする。
「・・・異世界転移の段階で普通なんて言葉は潰えた・・・普通?何それ?美味しいの?」
次はスタイリッシュにコンボを組み立ててみる。
まずは、
「月花の太刀、四の型、瞬月」
瞬月で踏み込み、一機斬り捨てる。
「月花の太刀、一の型、円月」
そのままディメンジョン・ステップで次の獲物に接近して、容赦無く二機纏めて真っ二つに斬り分ける。
「月花の太刀、二の型、風月」
斬撃を飛ばして、遠くにいた小型戦闘ポットを斬る。
「月花の太刀、三の型、閃月」
そして、レーザーの照準を合わせようとしている中型戦闘ポットに接近して、バラバラに解体した。
これで残りの小隊は一部隊のみだ。
さっさとバラそうと
キュィィィィィ・・・
小型戦闘ポットからジェット機のような駆動音が響いてくる。
「ちょ、ちょっと!?オーバードライブ機能は使えないようにしているはずじゃ!?」
リリィが焦る原因となる、オーバードライブ機能とは何なのかは分からないが、先程よりもマシな性能になるような雰囲気を感じる。
「・・・まぁ、それでも真っ二つだけどな、それじゃあ・・・推して参る!!」
俺はそれでも真正面から斬り掛かった。
同時に小型戦闘ポットが俺を囲むように動き、一機が正面で囮役をやるようだが、
「・・・甘い!!月花の太刀、七の型、
ディメンジョン・ムーブで接近して相手の攻撃を幻の如く躱しそこからすれ違い、斬撃を叩き込む。
正面の小型戦闘ポットの片足を一瞬で全て叩き斬る。
振り返ると左側から回り込もうとした小型戦闘ポットが正面から迫ってくるので、
「月花の太刀、二の型、風月!!」
飛ぶ斬撃を複数お見舞いして動きを止めた後に、
「・・・散れ!!」
ディメンジョン・スラッシュを連続で放ち、動けない最初の一機と纏めて再起不能にする。
「そ、そんな・・・通常時の2倍以上の性能なんだぞ?・・・」
なんかよく分からないのが聞こえてきたが、今は中々楽しいので気にせず続ける。
今までの技は一言で言うと、所謂下級技というヤツで今から使うのは中級技である。
「月花の太刀、五の型、
この技の特徴は座標設置型のその場に残る斬撃が最大の特徴である。
風月にしろ、ディメンジョン・スラッシュにしても当たればそれまでであるのだが、異月は当たってもそのまま残るのである。
そう、それはまるでピアノ線で作ったワイヤートラップのように触れると斬れるし、そして、消えない・・・
そして、そんなモノで敵を囲うとどうなるか?
「う、嘘だ・・・」
回避行動をした途端にゼリーかこんにゃくのようにズッパシバラバラになるが正解である。
「ここまでくると、指揮もへったくれもないわな・・・」
小型戦闘ポットと同様に中型も駆動音を響かせているが・・・
「・・・悪いがお前らのパターンは憶えた。」
そう呟いた俺はディメンジョン・スラッシュをふたつ放つ。
放った場所は左右の脚部、動き出す前に仕掛てしまえば・・・
「あ、悪夢だ・・・」
どうやらこの戦闘ポット達の行動パターンは基本的に背面を取るか正面には立たない事をプログラミングされているようだ、故に読みやすく動き出す前に今みたいに仕掛てしまえば後はご覧の通り消化するだけである。
最後に止めを刺したら遠くからなんかドサッという何かが倒れるような音が聞こえた気がするが気にせず俺はこう言った。
「次は?」
その言葉を待っていたのかリリィが興奮した口調で、
「次は私の番です!!」
先程の中型戦闘ポットよりも大型の戦闘ポットが出てきた。
「今度はこの大型戦闘ポット、アーマードタランチュラであなたの相手をさせていただきます!!」
リリィのノリノリな声が響いたが、今更ながら俺が斬った戦闘ポットの容姿の話をしよう。
一言で言うと殻では無く武器を積んだヤドカリか蜘蛛のような見た目をしている。
あの大型戦闘ポットの名前がタランチュラならモデルは恐らく蜘蛛の方だと思うが・・・問題なのは、
「ってリリィが乗ってんのか・・・ボディを斬るわけにはいかないか、脚を斬り落としてダルマしかないかな・・・」
そう言って踏み込もうとすると、
「そうはさせません!!」
見た目の大きさよりも遥かに速く動いて俺を踏みつぶしにきたが、
「・・・自転車くらいの衝撃しか感じないとか俺ちょっと人外すぎない?」
「・・・いえ、流石に驚きましたが頼もしくて大変良いと思います!!」
リリィのテンションが終始高い・・・この子、ハンドルを握ると性格が変わるのだろうか?
それはともかく、小型戦闘ポットで乗用車ぐらいの大きさ、中型でトラックの大きさ、大型は飛行機レベルの大きさがあるわけだが、俺はその大型の踏みつけを軽く受け止めてしまった。
正直、周りの方が被害が甚大だ、主に俺の足元が・・・床がめっちゃ凹んでるのだが良いのだろうか?
とりあえず、脚を力で押し返して仕切り直す。
押し返されたリリィはすぐさま態勢を立て直して、
「副砲照準よし!!ファイアー!!副兵装ファイアー!!」
俺はジグザグに動いてガトリングガンをやり過ごして飛んできたミサイルを、
「返品致しま〜す!」
「・・・うっそぉ!?」
避けて素手投げ返した。
ミサイルポッドは無理だったがガトリングガンは吹っ飛んだので、この隙に脚を斬り飛ばす。
「むぅ~、バリアシールド最大出力!!」
脚を2本斬り飛ばした辺りでバリアを張ったので、
「月花の太刀、六の型、
重く黒い斬撃がバリアをゆっくりと斬り裂きながら進む。
「!?そんな!?大型のバリアシールドが一撃で!?」
冥月の斬撃は異月とはまた別の消えない斬撃でコチラはゆっくり飛ぶ、いや飛び続ける斬撃だ。
バリアシールドなんかを、削るのに適していて今みたいにシールドを張ってチャージっていう隙だらけの相手に凄い効果的な技なのだ。
先程、左脚を2本斬り落としたのだが、冥月で反対の右脚を全部斬り落とした。
「もう!?威力が高すぎます!?でも・・・」
だが、主砲をこちらへ向けて放つ用意は出来たようだ。
「最後の悪あがきです!!」
恐らく航宙艦のビームキャノンと同等の出力はあるだろうが・・・
「月花の太刀、ハの型、
この無月の斬撃は全てを消す。
消失の斬撃、それが無月・・・異月の空間を斬り裂く力を刀身に込めて飛ばさずに留めて圧縮する。
冥月の重い重圧を伴った斬撃を飛ばさず刀身に留めて圧縮する。
ネックなのは武器の消耗だが、神刀と呼ばれるクラスまでいくと、耐久度なんてないからこの技を生かす為に武器を強くするという意見もゲームだった頃は出ていた。
そんな強力な技と相手が切り札として使った主砲のビームキャノンにぶつける。
結果は・・・
「・・・ここまでデタラメだと逆に清々しいですね~・・・」
ビームキャノンを消し飛ばした、俺の勝利だった。
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