第12話 次のテストは妹の見せ場があるかもです?

 俺がバラバラにした大型戦闘ポットからリリィが出てきた。

 「よっ、いしょ!・・・もう、灯護さんデタラメ過ぎます・・・」

 そんな事言いながらリリィの顔が少し赤い・・・

 「あ〜、ごめん、一応手加減はしたんだけど・・・」

 怒ってると思った俺は頭をかきながらそう弁明するしかなかった。

 「・・・いえ、大丈夫です・・・コックピットの近くに殆ど被弾しませんでしたし・・・どうしよう、凄くカッコよく見える(ボソッ)・・・」

 最後の方をよく聞き取れなかったが、とりあえずリリィは大丈夫だと言うが、なんか熱に浮かされたみたいに俺の顔を見てポーッとしているので少し不安になる。

 「本当に大丈夫か?」

 少し顔を近づけ本当に熱などがないのか確認すると、

 「・・・はぁう〜・・・」

 ますます赤くなってしまった・・・解せぬ・・・

 彼女の様子に戸惑いどうしたものかと考えていると、

 「リリィ姉様から話を聞いてましたけど本当にデタラメですのね?・・・というかリリィ姉様?どうなさいましたの?もしも〜し?」

 リリィと同じピンク色のロングヘアーを一纏めにして右肩に流した髪型とリリィと同じ顔つき、でも雰囲気はどこか似ているけど違う双子ならではの違い。

 妹さんの名前は・・・

 「・・・コホン、既に私の事も聞いてるかもしれませんが、私はエルアーナ・ベルティ、階級は姉と同じく中尉です。よろしくお願い致しますわ。」

 「俺は灯護・デューク・・・灯護と呼んでくれ。」

 「分かりましたわ、灯護さん。私もエルと呼んでくださいませ。」

 エルアーナ中尉もといエルは落ち着いて俺に自己紹介した後に、俺もしっかりと返す事が出来た。

 リリィもそうだが、こんな可愛い娘にデュークさんとかプレイネームとかで呼ばれると背筋がムズムズする、だから本名の名前で呼ばれる方が良い。

 とりあえず、変な変態ネームを付けなくて本当に良かったと俺は今感じている。

 過去の俺グッジョブ!


 互いに挨拶と自己紹介をしたところで次の対人戦テストの詳細を聞く。

 「対人戦では専用のカバーを実際にお使いなられている刀剣に付けていただいて、それを使って一対一の決闘形式で戦闘を行います。後はもう一つのヘッドセットを装着していただいて戦闘を行うと、ダメージ測定により身体の自由が制限されていき最終的に死亡判定が出ると負けです。」

 「場所はここでやるのか?」

 説明を聞いた俺が質問をすると、

 「いえ、専用の試合場があるのでそちらで・・・もう、おねぇちゃん!!次のテストやるからついて来て!!」

 っと答える合間にリリィに一喝したがふむ?

 「・・・そっちが素か?」

 と俺が首を傾げると、

 「・・・内緒です、私に勝てたらお答えします。後、そこで寝てるキモいのは放置で結構です。」

 「了解、リリィは・・・?」

 俺は一切キモいのを気にせず、リリィに傍に行って抱き上げた、そう、お姫様抱っこだ。

 「ふぇ!?あの!?え!?」

 まさに借りてきた猫のように大人しくなったリリィを抱えて、俺はエルアーナ中尉の後をついて行った。

 

 辿り着いた先はインターハイなどで見られるコートのような場所だった。

 「こちらの施設に擬似戦闘シミュレーター装置一式が揃っていてここで対人戦テストを致します。まずは準備としてこちらのカバーを刀剣の刃の部分に被せていただいて・・・あら?」

 カグツチに被せようとしたら裂けてしまった。

 「このカバーは対切断素材で出来ているのですが・・・」

 「ん〜、もっと厚手の奴はあるか?」

 俺がエルにそう聞くと、

 「畏まりました、持ってきますわ。」

 そう言ってエルは取りに行った。

 「リリィ?そろそろ戻ってきて?」

 リリィに俺がそう声をかけると、

 「ふぇっ!?」

 ビクッ身を固くした後、周りを見渡し、

 「・・・はっ!?そうだ!灯護君!?なんであんな事をしたんですか!?(嬉しかったけど!)びっくりしてもう一瞬夢でも見てるのかと思いましたよ!?(嬉しかったけど!!)」

 「えっ!?いや、リリィ正気に戻らなかったし・・・」

 「正気に戻らないからって女の子を簡単に抱っこしてはダメです!!」

 リリィは顔は現在も赤いままだ。

 「おねぇちゃんが正気に戻らないからって彼が運んでくれたんだから文句を言わないの・・・私も少し抱っこしてもらいたいのに(ボソッ)」

 「ん?・・・?」

 エルがリリィを窘めたがなんか一言聞こえたような?

 「はい、これなら多分大丈夫だと思います。」

 エルから渡されたカバーは鞘のような厚さの物だった。

 「おっ!?これなら大丈夫そうだ!」

 試しに試合場の脇に立っている人形を試しに斬ってみる。

 「うん、ちゃんと打撃だ。」

 グワングワンと揺れているが斬れずにしっかりと人形はそのままだ。

 だが、エルとリリィは・・・

 「・・・ちょっと、エル?あの人形相当な重さよね?しかも真剣で斬れないように航宙艦の装甲素材だったわよね?」

 「・・・うん、超重厚合金で出来てるはずだよ、おねぇちゃん・・・」

 「・・・怪我には気をつけてね?」

 「・・・頑張る、怪我したら責任とってもらう!」

 何やらコソコソと話をしていた。

 エルはコホンと一つ間をおいて、

 「では、対人戦テストを始めます。あちらが判定装置です、有効打もしくは勝負有りと見なされるとブザーが鳴り響いてあちらの判定装置に赤か青のランプが付きます。赤が灯ればあなたの勝ち、逆に青なら私の勝ちです。小さい黄色のランプは有効打で三つ灯ると取った方の勝ちとなります。」

 「OK、分かった。」

 フェイシングと剣道と居合を混ぜた感じに見えるルールを聞いて俺は了承する。

 「後は、こちらのグローブとブーツを付ければ打撃も可能となります。」

 それを見て付けるか悩んだが・・・

 「一応付けるか・・・」

 そう言って俺はグローブとブーツを身に着けた。

 少しゴワついているがまぁ、ハンデということにしておこう。

 俺が準備を整うと、

 「では、始めましょう・・・」

 エルは腰部分に付けていたサーベルを抜いた。

 俺も太刀カグツチを構えて、

 「・・・判定は私がやらせていただきます。」

 リリィが審判を務め、

 「構え!!・・・始め!!」

 開始の合図と共に俺とエルはお互いの獲物をぶつけた。

 

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