第3話 アレ?俺のお金は?
宙賊に絡まれるというハプニングはあったモノのこれを撃滅して現在、奴らの残骸を漁っている最中である。
「・・・あのゲームにこういう行為や描写は無かったんだが、この世界はどんな世界なんだい?ロボットの方だったら一応太陽系が舞台だから地球に帰れる可能性も存在してくれると思うのだが・・・まぁ、無理だろうなぁ~」
残骸にスキャンをかけて食料やマテリアルを回収する。
後はデータキャッシュなんかを読み込んでこの周辺宙域図を集める。
「・・・地図が手に入ったのは行幸だが、食料よりも酒が多いとかマジかよ・・・そういえばまだ艦内を調べてないな、コロニーまで一日はかかるようだし、オートパイロットで航行している時に調べるか」
地図上には真っ直ぐ艦を飛ばして一日と表示される。
それを確認して艦をコロニーに向けて動かそうとすると、
「キャプテン・デューク、私を無視なさらないで下さい。」
小さい球体が俺の視界にフヨフヨと浮きながら話かけてきた。
「・・・艦のAIかな?そこまで自我があるの?」
勿論、ゲームにそのようなモノは存在しなかった、どちらのゲーム共に、だ。
「はい、私は超長距離航宙移動可能 中型可変戦闘航宙艦 TYPE ルシファーに備え付けられているサポートAI ルナと申します。以後お見知りおきを」
ルナと自称したAIに気になる事を聞いてみる。
「どうして俺はここにいるの?君を作ったの誰?」
俺の質問にルナは、
「申し訳ありません、キャプテン・デューク。そちらの質問にはどちらも私の中に答えとなるデータは存在しませんでした。」
と、想定内の答えが帰ってきた。
「そっか、とりあえず超長距離ドライブを機動してこの地図にあるコロニーに向かおうか」
俺がそう指針を示すと、
「キャプテン・デューク、亜空間フォトン・ドライブを使うと半日程度で目的地に到着する事が可能です。また超長距離ドライブだとまた宙賊に補足される恐れもあります」
ルナの提案に俺は乗る事にした。
「わかった、じゃあソレで行こうか。起動方法は?」
「かしこまりました、音声での起動だとそのまま画面表示のYESボタンを押せば起動致します。手動操作による起動だとメニュー画面を表示して戴いてから目的地を設定して最後に表示されるYESボタンを押して下さい。」
ルナの言われた通りに操作をして起動させると艦がオートパイロットで運転を始めた。
「後、私に言っていただきますと私の方からも起動する事が可能です。他に質問などはありますか?」
ルナの説明を聞いてから俺は、
「とりあえず、艦内の案内をお願いしようかな?」
「かしこまりました、キャプテン・デューク」
「・・・キャプテンはヤメテ、
ゲームの名前をリアルで呼ばれると何故こんなに恥ずかしいのだろうか?
しかも、苗字扱いだからどこかの偶にワンマンアーミーをかますヒットマンみたいな名前になってるし・・・
「畏まりました、灯護。では私の事もルナと呼んでください。」
「・・・わかったよ、ルナ。それじゃあ案内を頼むね?」
「畏まりました、ではコチラへついて来てください、灯護。」
そうして俺はルシファーの艦内をルナに案内してもらう事になった。
最初に案内されたのは艦長室だった。
「艦長室はコックピットの傍に配置されております。ここは灯護の寝室にもなります、そして灯護の情報端末もここに配置されているので、今からセットアップも済ませてしまいましょう。」
そう言ってルナはフヨフヨと浮いて流れるように艦長室の中に入って行った。
俺もルナに続いて中に入り、ルナが言っていた情報端末を手に取る。
「まずは、生体認証の登録をお願いします。画面の表示される枠内に指をつけて下さい。」
手に取ると確かに画面に枠があったのでそこに人差し指を当てる。
「そのまま指を付けておいて下さい・・・はい、登録完了です。これで各メニューが使えるようになりましたし、サーバーネットワークにも繋いでアプリのダウンロードも出来ます。コロニーなんかの傍にしか無いですけどね。メッセージや通話なんかもコロニーの傍にいないと使えません。その代わり違う星系のコロニーや惑星に星系外通信などが可能ですので情報量が増える利点もあります。」
「なるほど、まぁとりあえずアプリをダウンロードしてからだな。知り合いなんているわけもないし・・・はぁ~」
そう言って俺は情報端末のメニュー画面をチェックする。
「情報端末の一番上の項目が各種通信の項目です。その下が艦の情報や操作ですね、積荷のチェックも可能です。後、積荷はハンガーに載せられた時点でハンガーに設置してあるマルチスキャナーによって自動でスキャンされるのでその情報もこの項目で可能です。その次は灯護の個人情報の項目ですね、財産なんかもその項目でチェックする事が出来ます。今は一文無しですが・・・」
「・・・なんですと?」
ルナからとんでもない事を告げられたのですぐに俺の個人資産を確認する。
「・・・そんな、俺の、6億が・・・無いなんて・・・」
「・・・??当然だと思いますが?まだ宙賊を倒しただけなんですから、戦利品を売らないとお金が出来ないのは当たり前では?賞金首の報酬もコロニーまで行かないと受け取る事は出来ませんし・・・」
当たり前だとルナに言われたが前の世界、地球に6億を残してきた事は心の底からショックだった。何故なら・・・
「また仕事をしないとイケないじゃないか!?せっかく6億を当てて死ぬまで働かなくてもよかったのに、また神は俺を働かせるつもりなのか!?・・・そもそも、6億だってまだ1割くらいしか使ってないのに!?」
ぐうたらニート生活から強制的にサバイバル異世界SF生活なんて小説でしか喜ばれないよ!?現実で強制召喚とか勇者なんてノーセンキューです!なにそれ?美味しいの?
「灯護が何の事を言っているのか分かりませんがここの説明は以上となります。質問が無ければ次に向かいますがよろしいですか?」
「あぁ、頼む・・・」
一生の幸運が一生の悪運で台無しになった事実を俺は懸命に耐えながらルナの後をついていった。
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