第7話 身分制度については至って普通のようです

 リリアーナ・ベルティ中尉が見張り役という事で結構な荷物を持ってきたのだが・・・

 「いや、一応聞くけど本気?男の家に女の子がホイホイ泊まりに行ってるようなモノ・・・というかそのものだぞ?」

 俺が普通に大荷物を背負って艦内に乗り込んだリリアーナ中尉を一旦共有スペースに座らせて話を聞く。

 「・・・まぁ、確かに貴族女子としても軍人でも正直ありえないのですが、私の事情が大きいのでそこは気にしないで大丈夫です。もし、デューク殿がお嫌でしたらすぐに他の方に変わりますし・・・」

 「・・・むぅ・・・」

 正直どちらかといえば、俺も男だからこんな可愛い娘が見張り役といえども一時であっても共同生活出来るのは当然嬉しい。

 だが、正直俺の理性が保つかどうかが自信無い独身生活がめっちゃ長いモノで・・・

 後は・・・

 「その、事情は教えて貰えるのかい?」

 「・・・それは、その・・・もう少し仲良くなれてからで・・・」

 今の彼女はオフモードなのか、尋問時のクールな雰囲気は薄れ、見た目通りの可愛らしさが際立っていた。

 そして、彼女の言うの意味を履き違える程、見た目はともかく俺は若くは無い。

 「分かった、只しあまり俺の前で薄着なのは止めてね?男の理性なんて薄紙もいいところなんだから・・・」

 「・・・それは、分かっています。その、その時は覚悟を決めますから・・・(あのクズ共にされるくらいなら彼の方が・・・)」

 覚悟を決めるの後に何か言っていたが俺はそれを聞き逃して、

 「じゃあとりあえず、部屋に案内するよ。」

 俺はリリアーナ中尉を空いてる客室に案内するのだった。


 忘れているかもしれないが今の俺は長身のゴリマッチョだ、それに対して彼女は女性にしては高めの身長だがそれでも精々170センチくらいだろう対して俺の今の身長は230センチ俺の腹から胸くらいまでしか身長がないのだ。

 当然横幅がシュッと細くて正直モデルのような綺麗なスタイルをしている人だ。

 「・・・最初見た時も思いましたが凄く背が高いですね、ちょっと羨ましいかもしれません。」

 リリアーナ中尉がそのように言うので、

 「それは、少々欲張りと言うものでは?リリアーナ中尉のように可愛くって綺麗な方を俺は知りませんが・・・まぁ、記憶があやふやな俺が言ってもなんの足しにもなりはしないかもしれませんが」

 「フフッ、そうですか?私は嬉しいですからそんな事はありませんよ?デューク殿は荷物も持っていただいてくれてますし、ありがとうございます。」

 まさに花のような彼女の笑顔を横目で見ながら俺は2つある一人部屋のうちの片方を彼女の部屋として貸し出す。

 「この部屋がリリアーナ中尉に貸す部屋で俺の部屋はもう少し奥に行ったところにある。一番奥の扉がコックピットになっている。」

 俺の案内を聞きながら彼女は部屋の中を確認する。

 「結構広いですね、私の部屋よりも広いかも・・・」

 「リリアーナ中尉、とりあえず荷物を置いて他の案内とかもするけどそれで大丈夫かな?」

 彼女はグルッと、部屋を見渡し・・・

 「・・・灯護、私の事を忘れていませんか?」

 ルナが少し機嫌の悪そうな声で俺に問いかけてきた。

 「ルナ、なんでそんなに機嫌が悪いんだ?」

 「別に機嫌が悪い訳ではありません。」

 俺がルナの態度に首を傾げていると、

 「あの・・・この子は?」

 とりあえずリリアーナ中尉にルナを紹介した。

 「この子はこの艦、ルシファーのサポートAIのルナだ、こう見えてかなり情報系に強いから結構頼りにしてる。」

 「灯護はもっと私を頼りにしてもいいんですよ?それはともかく、中型戦闘航宙艦ルシファーのサポートAIのルナです、以後よろしくお願いいたします。」

 「まぁ、こんな小型なのに随分と高性能なのね・・・リリアーナ・ベルティ中尉です、暫くの間お世話になります。」

 ルナの性能に少し驚きつつも、リリアーナ中尉はルナに挨拶をしていた。

 「挨拶はコレでいいとして灯護?この後は?」

 ルナが今後の予定を聞いてきたので、

 「とりあえず一通り案内してから今日は共有スペースの自動調理器でメシにしよう。後、リリアーナ中尉に通販の方法とか身分証の類も相談したい。ルナは俺とリリアーナ中尉の話を聞きつつネットワークに繋いで銀河航宙図と帝王国内航宙図をダウンロードしてくれ・・・後は出来たら宙賊の食料や酒を売ってそれを安心出来る物に買い替えてくれ。」

 「畏まりました、ようやく灯護に私の凄さ見せつける時が来ましたね!」

 機嫌良さげなルナに少々不安になる俺・・・

 「リリアーナ中尉、手間をかけてすまないが、アレで結構おっちょこちょいなんだ・・・もしやり過ぎたら教えてくれ。」

 「・・・分かりました、球体型で結構な高性能AIなのになんだか可愛く見えてしまうのは不思議ですね?」

 俺はリリアーナ中尉にそう言われて、

 「・・・えぇ、可愛い相棒ですよ。」

 と答えた。

 

 それから、俺は彼女に一般常識を教えて貰った。

 「まず言わせて貰いたいのが私は貴族の端くれですから正直に言うと、世間一般的な平民の常識は少し疎いのですが、それでも今のあなたよりはずっと知ってる事は多いと思います。なので、まずはこの国の身分制度から教えていきたいと思います。」

 共有スペースのモニターを使い、よくあるピラミッド型の図を使い、リリアーナ中尉は俺に分かりやすくレクチャーしてくれる。

 「まず公的身分についてですが、この国グロリアス帝王国ではまず一番上に帝王族、次に貴族、最後に平民となっています。これは貴族当主と一般平民は身分が違うと帝王国法でも明確に記されています。何故かと言うと、貴族当主は領地または役職により様々な責任が発生しています、治安維持や地方裁判の管理と監視、そして犯罪行為の取締と国土の発展などですね。それを行うにあたって必要な権力や武力が帝王陛下より下賜されております。尚、基本的に領地を持たない法衣貴族などもその職務を果たす為に同様の権力と責任が帝王陛下より下賜されています。ここまでよろしいですか?」

 「あぁ、大丈夫だ。」

 「ならばこのまま先に進めますね。ですがこの身分の違いはとなっています。例えば只の生まれが貴族というだけの仕事をしていない貴族と普通に仕事をしている平民は身分に違いはありません。また仕事をしていてる貴族でも領主でなければ一般平民と同格です。これは特権階級などと溺れて不正や法に反する事を防ぐ為のモノです。また優秀な人材をバカな奴らから守る為のモノになっています。愚かな親族のせいで領主が責任を取らされ領地が荒れることを防ぐ為の法律です。故に帝王国軍では、領主の親族であっても容赦無く裁きます。」

 「・・・となると、軍人は結構偉いのか?」

 俺が、首を傾げながらそう問うと、

 「いえ、軍人は飽くまで不正者や犯罪者、国賊と他国軍に対する組織です。不正していない者を弾圧したり当然犯罪に加担していない者、無関係な者に武力や権力をチラつかせる事はやってはならないとコチラも法律に記されております。只、治安維持・・・それも暴力行為や武力行使を行っている場合は基本的に問答無用で捕縛します。次は世間一般的な職業に対する事をお教えしますが大丈夫ですか?」

 「あぁ、大丈夫だ。なんというか結構興味深いな・・・」

 俺が情報端末にメモを取りながら話を聞いてると、リリアーナ中尉も気分が乗ってきたのか。

 「では、このまま説明を続けさせていただきます。まずは、一般平民の職業は基本的に軍人と商人と職人、そして傭兵です。軍人は先程少し説明しましたが、治安維持がメインですのでかなりの大勢が軍人として軍に所属しております、それと貴族生まれは基本的に軍人になります、そして自分の親兄弟、親族が治める領地の治安維持に寄与するのが殆どです。一般平民は帝王国中に配置されて同様に治安維持などの任務を任されます。軍人についてはこのくらいで充分だと思いますが何か質問などはありますか?」

 「大丈夫だ。」

 リリアーナ中尉は腕時計を確認して、

 「少し休憩にしましょう、既に1時間以上やってますから・・・」

 俺も情報端末の時間を確認するとあと少しで2時間に届くところだった。

 「そうだな、少し休憩しようか・・・リリアーナ中尉の教え方がよかったので大変興味深かった。」

 俺がそう言うと、

 「いえ、デューク殿が熱心に聞いてくれたからですよ・・・私は少しルナさんの様子を見に行ってみます。」

 そう言ってリリアーナ中尉はルナがいるであろう俺の部屋に歩いて行った。

 

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