第8話 続けて説明しよう
あれから1時間程軽く軽食を食べて休憩した俺とリリアーナ中尉は更に身分について勉強していく。
「次は商人ですね、と言っても特にコレと言った事は無いんですけどね・・・商業ギルドに登録されて商業資格を有している方がそのように名乗られます。ランクがあって下が5級、上が1級となっています。それにより商店の立地や扱える商品が変わりますが中にはデリケートな品や危険物などもある為そういった品を取り扱うならその品種の商業資格を獲得しないと商売してはなりません。こちらも帝王国法でしっかりと定められています。そして、資格を持たず商売する人の事を違法商人と呼んでいて、彼らがまた結構な危険物を無資格でばら撒くから後始末が恐ろしく大変なんですよねぇ〜・・・当然、軍や治安維持組織の逮捕捕縛の対象となります。」
「お、おう・・・宙賊の戦利品でそういう危険物を拾ってきた場合は?」
俺が瞳から光を失ったリリアーナ中尉に恐る恐る質問すると、
「その場合は国軍センターで賞金首の懸賞金を受け取る時に手続きすれば後は自動で処理が完了します。もちろん、換金という形でとなっています。」
「なるほど」
光を取り戻したリリアーナ中尉の説明に俺は納得する。
「商人はここまでですね。この次に職人ですが、この方達は別な言い方をすると技術者とも言えます。武器職人や防具職人、航宙艦のメカニックやその他道具の類を作って商売をする方達の事を職人と呼びます。彼らが所属するのは職業ギルド、専門的な技術を学び、育て、そして、仕事を振り分けるのが職業ギルドの役割となっています。」
「それを聞くと一般的には最初は職業ギルドで専門的な技術を学んでから商業ギルドに勉強に行く感じかな?」
俺が印象に感じた事を聞いてみると、
「そうですね、堅実でしっかりと準備をしている方はそのような感じで職業ギルドに入るそうです。そして、知識やある程度の技術を身に付けてから商業ギルドに登録するというのが一般的となっています。」
俺は自分の質問の答えがあっていてやはり、と思ったが・・・
「ですが、全ての方がそんな堅実に学ぶ訳もなく、いきなり商業ギルドに登録して借金を作る人とかアドバイスを聞かずに好き勝手やって地獄に落ちた奴もいるそうよ?」
「なるほど・・・」
そちらもやはりいるようだ、文明や文化の進化があれどやはり人は人という事かもしれない。
いや、むしろコロニーのような閉塞的な環境だからこそ人らしい行為が発生している可能性があるかも、などと俺は思ってしまった。
惑星住まいの一般人の話も機会があれば聞いてみたいものだ。
「そして、傭兵と軍人ですね。この2つは依頼主が傭兵側なら傭兵ギルドが、軍人側なら国が運営する国軍センターという機関を通して、傭兵と軍に依頼を出します。この違いは機関が違うのもそうなんですが傭兵ギルドは殆ど民営化されており、傭兵ギルドは民間よりの依頼が多いのも傭兵ギルドの特徴ですね。逆に軍人は国からの命令を受けて任務という形で仕事をします。只、軍人の場合は基本給があって、その上に任務で素晴らしい動きをすると、ボーナスなどが出たりしますし危険な任務では危険手当なども貰えます。」
「ふむ、どちらも所属するのは簡単なのか?」
俺が登録方法を問うと、
「どちらも実技試験か体力テストをクリアする必要がありますね。どちらも養成学校があるので普通はそこに通ってから登録、という流れになっています。実技テストの方は軍も傭兵ギルドも一緒で航宙戦と白兵戦、対人戦の中から一つでもクリア出来れば合格となっています。」
「なるほど、腕っぷしが自慢の奴が玉砕までがワンセットか・・・」
俺の脳裏に調子に乗って返り討ちになった筋肉しか取り柄のなさそうなモヒカンが頭に浮かんだ。
「まぁ、軍の方にも貴族の方がそんな風に試験を落ちる事が適度にあるそうですので・・・」
そう言ってリリアーナ中尉は何故か遠い目をしていた。
その様子に俺は首を傾げると、
「・・・私が真面目に勉強して今の立場を手に入れたのに、親のコネだかなんだかでワザといい点数を上げて合格にしろとか・・・(ブツブツ)」
「り、リリアーナ中尉?」
急に瞳から光が消えてブツブツと独り言を言い出したリリアーナ中尉に恐る恐る声をかける。
「はっ!?・・・失礼しました、少々過去を思い出して鬱になってました。」
迸る地雷臭、だがこのまま無言でいる訳にはいかず何か言わなくてはならない・・・俺は心の中で誰かが、
(あなたならこんな時どんな言葉を投げかけますか?)
と、優しい声が囁くが・・・
(どう返答しても絡み酒からウザ絡みして酒乱祭りの流れしか見えねぇ!?)
俺の灰色の脳細胞は絶望的な未来しか示せなかった。
結局、俺はその部分のスルーして、
「そういえば、自動調理器についてなんですが・・・」
別な質問で話題を変えて私生活の確立と充実の為に質問を重ねるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます