第17話 魔力の簡単な使い方を教えたら早速実戦です。

 昨晩はひたすら二人の身体に魔力を流して感覚を教え込んだ翌日、俺達は傭兵ギルドが開く時間に赴き、訓練施設を借りた。

 訓練施設の使用料は何と二時間で1000ガネー・・・使用料めっちゃ高いな!?

 「まぁ、仕方ないよ・・・戦闘ポットとか高いし、的とかもタダじゃないからね。」

 「うん、世知辛い。」

 まぁそんなところだろうと思っていたのでそこまで驚きはしてないが・・・

 「それにしてもこのバルムンクって、正に国宝級どころか神話級って感じの剣かも、使ってて凄い馴染んでいく感じ・・・」

 エルの感想に俺は、

 「魔力の扱いとかどう?一応基礎能力を意識して身体強化系を今教えたんだけど・・・」

 二人には魔力を用いた身体強化系のスキルを教えた。

 二人が言うにはしっかりと使えているようだ。

 「しかし、リリィのアシュラもかなりいい感じだな・・・エルも問題無く使いこなしているし・・・午後から攻めても大丈夫そうだな。」

 俺がそのように考えていると、

 「私もそれで大丈夫だと思いますよ・・・エルも調子良いようですし。」

 リリィが試運転を終えて戻ってきた。

 「そうか?なら色々片してから早速行くか?」

 「「はい!!」」

 俺は二人の返事を聞いてルナに色々と頼む。

 「サポートは頼むぞ、ルナ・・・」

 「はい、準備はバッチリです!それと灯護も気をつけて下さいね?今回の依頼は殲滅でも良いそうなので・・・」

 それを言われてから俺は首を傾げる。

 「・・・意外と気にしてないんだよな・・・多分奴らが相当ヤバイ事に手を出してるからだと思うが・・・」

 そう言って俺はリリィに聞いたギャング共のクソっぷりを思い出し・・・

 「正直、もう俺の中の認識がデカいGみたいな感じなんだよな・・・うん、駆除しよう、バ◯サン並みに硝煙と血煙を焚いておくとしよう。」

 俺は元々敵しかも下衆相手に容赦をしない性格だったので気にせず仕事をする事にした。


 あの後、船に戻って小休止してから俺達はクソギャング共を処理する為にコロニーのメンテナンス区画に来ていた。

 「あのギャング共の何がクソかって言えば、物を手に入れる為なら人を殺すのは当たり前、女子供をイジり倒してオモチャにして商品として売り捌くし、酷ければ生体兵器の実験ですからね・・・うん、さっさと処分するに限ります。」

 リリィの背後に何やらスタンドらしきモノが見える・・・うん、触れないでおこう。

 「しかも、ここのギャング共は軍の上層部の一部と繋がっているんですよ・・・何度ゴミ掃除を申請しても許可が降りませんでしたからね、クロなのはほぼ確定です。」

 エルもヤル気は充分なようだ。

 そんな事を話している内に、

 「おっと!?ここは通行止めだぁ~、ここを通りた・・・ひぃ!?」

 見張りが二人程、早速絡んできたのでリリィが速攻でアシュラをぶっ放した。

 「・・・私達はに来ました、よって立ち塞がると言うならば全て排除します。」

 「て、てめぇら!?軍の犬か!?」

 「・・・軍?そんなモノ辞めてきましたよ?の仲間なんて真っ平御免ですね!!」

 リリィの宣告の後に続いてエルがバルムンクを抜いた。

 その際の死刑宣告に見張り共は顔を青から白に変える。

 「さて、それじゃあパーティーの始まりだ!」

 俺は腰の銃を両手に構えて、ぞろぞろと増えていくギャング共に向けて突撃した。

 「いよっしぁぁぁぁぁぁあ!!」

 前方にいるギャング共五人に向けて俺は両手の銃を連射しながら駆け抜ける。

 「ひぎ!?」

 「ぎゃあ!?」

 連射した弾は全て命中、敵が見えないので後ろにいる二人を確認すると、

 「うふふっ、灯護さんから貰った武器の威力・・・その身に焼き付けなさい!!」

 リリィは一番連射の効くモードでアシュラを乱射して片っ端から風通しをよくしてた。

 エルは、

 「それ!それ!それ!まだまだまだまだぁ!!」

 常人とは思えないスピードで片っ端から斬り捨てていた・・・エルのスピードが上がり過ぎである・・・ヤバイ、原因は俺かもしれないけど何が原因なのか分からねぇ・・・対人戦のテストの時よりもずっと速い・・・原因は魔力を使えるようになったから、頼むからそう言う事にしておいてくれ・・・

 「今だぁ!!あのクソ野郎をぶっ殺せー!!」

 俺がなんとも言えない表情で悩んでいるとザコが湧いて出てきたので、

 「ハイハイ、ご苦労さんっと・・・」

 俺は右手の獲物をカグツチに取り替えて左手の銃を乱射、右手にカグツチを握り縦横無尽に駆けながら雑魚を散らした!

 「・・・完全に無双ゲーだな、正直負ける気がしないわ・・・」

 彼我の戦力差は甚大・・・そもそも二人が着けているコンバットアーマーは完全に防御力重視で対レーザー性能も高い一品で有り体に言うとビームランチャーじゃないとダメージを与えられないレベルで・・・なら、頭とか覆われて無い所を狙えば良い?ふっ、甘いな・・・バリアシールドも展開出来るのだよ、しかも自動で・・・

 少々過保護かもしれないが、彼女達は俺の・・・大事な俺の彼女達なんだからコレくらいはまぁ当然だろう・・・

 ・・・おや?なぜか二人のペースがめちゃくちゃ上がった。

 俺の方も相変わらず作業のままだ。

 「結構なペースで斬り捨ててるんだけどな・・・おっ!?」

 中型二機と大型一機の内約で戦闘ポットが終点に鎮座していた。

 中型は傭兵ギルドで見たものと同じタイプだが一応有人タイプのようだ、しかも大型は全く違う機体のようだ。

 「テメェら!?よくも好き勝手にオレのシマで暴れてくれやがったな!!この大型戦闘ポット、リザードランでテメェらぶっ潰す!!」

 「とりあえず、中型が邪魔だな・・・ディメンジョン・ステップ!!」

 「ひぃ!?消えやがっ・・・」

 即座に中型に接近して、

 「月花の太刀、四の型、瞬月」

 左右に四本ある脚の左側を斬り落とす。

 「ひぃぃぃぃ!?う、動きが人間じゃねぇ!?」

 「終わりだ、月花の太刀、三の型、閃月」

 バラバラになった中型に目もくれず、俺は大型戦闘ポットに向き直る。

 「ちっ!?化け物が!?だが、あっちの嬢ちゃん達はどうかな・・・!?」

 そんな事を言い出したのでチラッと二人を確認すると、

 「エル!パターンAで行くわよ!!」

 「りょ〜かい!おねぇちゃん!!バインドボムしゅー!!」

 リリィがアシュラを乱射しながら円を描きながら回り込む隙に、エルがバインドボムを中型の足元に投げつけた。

 「あひぃ!?う、うごかねぇ!?」

 炸裂したバインドボムの効果で棒立ちになった中型の脚を、

 「ハザード流剣術、流水剣!!」

 エルが力身の無い、流れるような動きで断ち斬っていく。

 「・・・おねぇちゃん!!」

 「これで終わりよ!!アシュラ、スナイパーモード、フルバースト!!」

 ダルマになった中型は最後になすすべもなく、リリィがぶっ放したアシュラのフルバーストによって風穴を開けた。

 「・・・まぁ、灯護さんのくれた装備ならコレくらい当然ね!」

 「ヴィクトリー♪」

 なぜかポーズを決めている二人から視線を外して、

 「さて、残るはおまえさんだけだ、諦めろ。」

 「・・・クソっ!?こんな所で死ねるかよ!!」

 俺の方に照準を合わせて、

 「喰らえ!!ファイヤーランチャー!!」

 トカゲの口から火の弾を放ってきた。

 「月花の太刀、九の型、蒼月ブルー・ムーン

 そして、俺はそれを一太刀で凍らせる。

 「クソっ、超可燃性液体弾だぞ!?なんで凍ってんだよ!?なら、これでどぉよ!!」

 今度はその場で回転して尻尾によるなぎ払いを繰り出してきたが、

 「月花の太刀、八の型、無月」

 俺のカウンターに尻尾が消し飛んだ。

 当てさえすれば無月の攻撃力はトップクラス、射程は恐ろしく短いが範囲はそれなりにある。

 そして、向こうから近づいて隙を見せてくれたのならこちらも応えねばなるまい。

 「月花の太刀、四の型、瞬月」

 トカゲの前脚を斬り落とそうとして、

 「お!?意外と硬いな・・・なら追加で、月花の太刀、三の型、閃月」

 一太刀で落とせなかったので、更に追加で技を見舞うと、

 「がぁぁぁぁ!?クソっがぁぁぁぁ!?」

 しっかりと前脚を一本斬り落とした。

 そのせいでバランスを崩したトカゲに俺は止めを刺すべく、

 「月花の太刀、五の型、異月」

 奴の手足を斬撃で縫い止め、

 「月花の太刀、六の型、冥月」

 重厚な斬撃でトカゲを真っ二つに両断した。

 「灯護さん!!やりましたね!」

 「灯護君!!褒めて褒めて!!」

 その直後リリィとエルから抱き着かれた。


 ルナの索敵のおかげでどうやらギャング共は無事壊滅したと確認が取れたので奴らのアジトを調べる事を二人から提案された。

 「後はここのデータを調べて宙賊の拠点を調べましょう。」

 「このデータを傭兵ギルドに提出すれば、傭兵ギルド総出でアジト潰しが始まるよ~」

 「なら、ここからはルナの出番だな。」

 俺の言葉にルナは、

 「はい、お任せください!!灯護!!」

 気合いが入った雰囲気でギャング共のデータを漁る。

 「あっ見つけましたね・・・というか、汚職の証拠も大量に・・・アジトは・・・このコロニーに来る前に倒した宙賊のデータの中にあったようですね、座標が同じです。」

 ルナの話を聞いた俺達は、

 「役人や軍人の汚職とか面倒でしかないな・・・」

 「私達はここの上層部の汚職を暴くのも目的でしたけどね・・・」

 「結構あっさり見つけちゃったけど、軍の内部をどんだけ探しても見つからなかったからな〜、まぁいい男をゲット出来たと思えば・・・」

 さり気なくエルが俺の腕に引っ付く。

 それを見たリリィが、

 「独占は禁止よ?」

 反対の腕に引っ付いた。

 それを見たルナは、

 「灯護、ナデナデを所望します!!」

 一瞬でデータの洗い出しを終わらせて俺に甘えてきた。

 「傭兵ギルドにデータを提出して、船に戻ったらな」

 そう言って俺はルナの球体ボディを撫でて傭兵ギルドに向けて歩き出した。

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