嫌われ者の少年、竜の姫、白いヘビ。因習だらけの世界を抜け出し何を見る。

 森の集落に暮らす主人公ケセドは、罪人の子と蔑まれていた。唯一の友達は、白いヘビのセラプト。肩身の狭い思いをして暮らしている一人と一匹に、転機が訪れる。集落で行われる祭りの為に用意されていた、供物が逃げ出したのだ。

 それは森の奥に棲むという守り神、「竜姫」へ捧げる為に育てられた十五歳の少年である。この日の為に用意していた供物を失った集落は、竜姫の怒りを買うのを恐れ、急遽ケセドを代わりの供物として祭りを続行する。

 一人竜姫が棲むと言われる岩場へ続く大河、「竜の胃袋」へ放り出されたケセドは、その大河を進む事になるが……。ケセドを含め集落の誰も、竜姫を見た事が無いのだ。

 果たして本当に竜姫はいるのか? 一度は逃がしたセラプトと再会したケセドは、「竜の胃袋」を歩き切った果てに何を見るのだろう?

 そしてしきたりの正体を知ったケセドは、向き合う事になる。罪人の子と呼ばれるきっかけとなった自分の出自と、これからどう生きるかという選択に。
 
 爽やかな読後感の、ボーイミーツガール異世界ファンタジー!

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