森の集落に暮らす主人公ケセドは、罪人の子と蔑まれていた。唯一の友達は、白いヘビのセラプト。肩身の狭い思いをして暮らしている一人と一匹に、転機が訪れる。集落で行われる祭りの為に用意されていた、供物が逃げ出したのだ。
それは森の奥に棲むという守り神、「竜姫」へ捧げる為に育てられた十五歳の少年である。この日の為に用意していた供物を失った集落は、竜姫の怒りを買うのを恐れ、急遽ケセドを代わりの供物として祭りを続行する。
一人竜姫が棲むと言われる岩場へ続く大河、「竜の胃袋」へ放り出されたケセドは、その大河を進む事になるが……。ケセドを含め集落の誰も、竜姫を見た事が無いのだ。
果たして本当に竜姫はいるのか? 一度は逃がしたセラプトと再会したケセドは、「竜の胃袋」を歩き切った果てに何を見るのだろう?
そしてしきたりの正体を知ったケセドは、向き合う事になる。罪人の子と呼ばれるきっかけとなった自分の出自と、これからどう生きるかという選択に。
爽やかな読後感の、ボーイミーツガール異世界ファンタジー!
本当の種族はアレ(読んでお確かめ下さい)だったヘビのセラプトが動きなどなど可愛いんです!セラプトが出てくる度にほわーんとなってました。
物語では主人公は供物にされたりと周囲から結構酷いことされてるんですが、彼がしっかり自らの境遇や感情を語るので不思議と暗くならない感じでした。展開もサクサク進んでいきます。
主人公と同じように供物にされた女の子も出てくるのですが、彼女はクセのある子で主人公も手を焼かされます。しかし彼女がそうするその理由がわかるだけに嫌いになれないキャラです。むしろ反応が可愛いなあ、と。
閉塞的な社会の独特の世界観やその社会を取り巻くもっと広い世界にわくわくしました。人々の暮らしの描写や情景の描写も素晴らしく、その光景を端から見ているようでした。読後感も良かったです。
皆様も是非是非この秀作をご一読下さい。
古い因習に縛られた集落、ククスに暮らす少年ケセド。罪人の子としてなにかと虐げられてきた彼は、ついに竜の供物に選ばれてしまいます。
そうして竜姫が棲むという岩場にたどりついたケセドでしたが、そこでひとりの言葉を話さない少女と出会うことに。
立場が変わればものの見方もガラリと変わる。差別、偏見、価値観の違い。
昨日までの自分、今日の自分、明日の自分。価値観には善悪も正解もなくて、だからこそ衝突するほどに苦悩する。相手が大切な存在であればなおさらです。
非常にシリアスな物語ですが、ケセドの相棒、ちいさな白ヘビ(?)のセラプトがまことにカワイイです。癒やしです。健気だし、頭いいし、なんなら演技までしちゃうし。
しかしここからどうハッピーエンドにもっていくんだろうと、終盤までわりと本気で心配になるくらいのシリアス展開でしたが、そこはさすがの竹神マジック。
それまでの鬱々しい暗雲がさっぱりすっきり払いのけられて、非常にさわやかな読後感に包まれます。
完結しましたので一気読みもできます。
ケセドの選択、伝説の行方、ぜひ見届けてください。
主人公のケセドは、竜姫への供物として生贄にされてしまうという不幸に見舞われます。
ですが、友だちの白ヘビや、竜姫が棲むという岩場で出会った少女、そしてその後に彼が出会う人々など、森の集落の人々とは違う人間と触れ合う事になって……
ファンタジックな設定ももちろん見所ですが、本作の登場人物たちは端役に至るまで人間味があって、私はそこが一番の魅力に感じました。
そんなキャラを描くのがお上手な作者様なので、もちろん主人公の人間味もすごく作りこまれています。なので、主人公は壁にぶつかることもあり、ハラハラもしますが「この主人公ならきっと切り抜ける!」という確信も持てて、安心して物語に没頭できました。
ちなみに、私のお気に入りキャラはセラプトです♪
主人公のケセドは因習により竜の供物として放置されます。
そこで出会ったのは不思議な髪色をした少女。
どうやら彼女も昔、供物として捧げられた人間でした。
相棒のアリシアヘビとともに、ケセドは生きるため、動き出すのですが……。
もうね……。
私、この作者さんの一人称が大好きなんですよ。
〝語り〟というのか……。主人公の内面を、ぐーっと掘り下げ、自分語りをさせるんですが、それがうまい!!
気づけばじっくり読み込んで、かつ、主人公の気持ちになっちゃうんですよね。
今回の主人公ケセド君。
彼も難しい生い立ちの上に、成育環境は複雑かつ最悪。
そんな中でも彼は大事な感情を失わずに生きている。したたかさも持ち、なにより大事な相棒(アリシアヘビのセラプト)がいる。
冒頭はかなり暗いですが……。
後半は最高、最上のハッピーエンド。
完結したいま、ぜひ読んでみてください!
※個人的には一気読みお勧め。
この作者様。シリアスからコメディまで幅広く書かれるのですが、今回はとってもシリアス。
とある集落に住む罪人の子、ケセドは、とある理由から、竜へ捧げる供物となってしまいます。
供物なんて冗談じゃない。そもそも竜なんて見たこともないのに、そんなもののために命を落とせるか。なんて言えたらいいのですが、この集落ではそんなこと、口が裂けても言えません。
皆さんはどうでしょう。昔からの風習ということで、誰かが死ぬというのを良しとできますか?
おそらくほとんどの人ができないと答えるだろうと思いますが、そんな価値観の違いこそ、本作の重要ポイント。
たとえバカげていると思っても、自分がそれを変える勇気は無い。そんな経験、あなたにもありませんか?
古い習慣、それを変えることへの抵抗、破った時の周りの目、生まれ持った使命。様々な人が違う価値観を持ち、そのせいで苦しい思いをすることもあれば、反発や仲違いだってある。
そんな悩みと葛藤の果てに、ケセドはいったいどんな道を選ぶのか。
彼の決断を、どうか見届けてください。
もうマジで個人的な話をするんですけど。
いや、レビューだから個人的な話というか感想で良いとは思うんですけど。
私マジでこの作者さんの文章が好きで。もうLOVEで。
表現とかね、言い回しが、イチイチ好きなんですよ。特に、主人公がね、色んな思いというか、シンプルに愚痴だったり、自分ではどうにも出来ないものに対する怒りみたいなね、そういうフツフツとした感情を吐露するところなんかが、すごく好き。
今回は、古い因習にとらわれた集落に住む、罪人の子ケセドが、まぁなんやかんやあって(ネタバレ防止)そこを出、竜姫と呼ばれる少女に出会う、というお話なんですけれども、新しい生活への希望だったり、大人に対する失望だったり、良かれと思ってやって来たことが実はすべて単なるおせっかいだったんじゃないかと気付いてしまった時の絶望と言いますかね、そういうのの描写が本当に上手いんですよ。難しい言葉を使うでもなく、だけど、誰にでも書ける表現でもなく。
前半はですね、少々暗い感じのお話です。いや、私の性癖にぶっ刺さってるので、もうむしろおかわりしたいくらいなんですけど。ただこちら、ハッピーエンドなんですよ。まだ完結してないんですけど、作者さんもそう言っておりますし、タグにもあるのでね?!
もう絶対ハッピーエンドですから。
マジでね、あの、魔法がどうとかそういうファンタジーに胸やけ気味の方は絶対読んだ方良いです。
あと個人的にセラプトという蛇が最高に可愛いです。
マジで可愛い。マジで可愛い。大事なことだからもう一回言っときます。マジで可愛い。