昨日までの自分に疑いを持ったとき、新しい人生がはじまる

 古い因習に縛られた集落、ククスに暮らす少年ケセド。罪人の子としてなにかと虐げられてきた彼は、ついに竜の供物に選ばれてしまいます。
 そうして竜姫が棲むという岩場にたどりついたケセドでしたが、そこでひとりの言葉を話さない少女と出会うことに。

 立場が変わればものの見方もガラリと変わる。差別、偏見、価値観の違い。
 昨日までの自分、今日の自分、明日の自分。価値観には善悪も正解もなくて、だからこそ衝突するほどに苦悩する。相手が大切な存在であればなおさらです。

 非常にシリアスな物語ですが、ケセドの相棒、ちいさな白ヘビ(?)のセラプトがまことにカワイイです。癒やしです。健気だし、頭いいし、なんなら演技までしちゃうし。

 しかしここからどうハッピーエンドにもっていくんだろうと、終盤までわりと本気で心配になるくらいのシリアス展開でしたが、そこはさすがの竹神マジック。
 それまでの鬱々しい暗雲がさっぱりすっきり払いのけられて、非常にさわやかな読後感に包まれます。
 完結しましたので一気読みもできます。
 ケセドの選択、伝説の行方、ぜひ見届けてください。

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