概要
名探偵(現実)vs魔法少女(虚構)、開戦
2007年12月、人気魔法少女アニメ『少女戦隊「ジャンヌ・ピュア」』の声優の一人・北町奈々子の首吊り死体がマンションの自室から発見された。警察は諸々の状況から彼女の死を自殺と判断。しかし、彼女の共演者にして恋人でもあった声優・中木悠介はこの結論に納得せず、名探偵と名高い榊原恵一に北町の死の真相を暴くように依頼する。容疑者は彼女の共演者である「ジャンヌ・ピュア」声優陣。だが、依頼を受けた榊原と助手・深町瑞穂の前に立ちはだかったのは、防犯対策を売りとする現場マンションによって形成された鉄壁の密室だった……。幽霊騒動、住人失踪、麻薬密売、過去の高校生不審死……次々と新たな事実が明らかになっていく中、榊原は「魔法少女」の皮をかぶった犯人の正体を暴くべく奮闘を続けていく。果たして、「魔法少女」を殺し
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!本格ミステリの醍醐味、ここにあり‼
アニメ声優の密室での不審死を巡って、麻薬汚染や政界汚職も絡み、まさしく謎が謎を呼ぶ複雑なプロットを明快にまとめあげた手腕はお見事としか言いようがありません。
そして何よりも、意表を突く密室トリックと、その密室トリックを実行できたのは誰かを特定していく強靭な推理は圧巻の一言。
名探偵の榊原氏は派手さこそないものの、常に冷静さを保ちつつ堅実に推理を積み重ねていく姿には風格や重厚感が備わっています。
アニメ声優の世界という舞台設定も、麻薬や汚職といった社会性も、すべてミステリとしてのプロットに奉仕するために存在しており、本格ミステリの世界に耽溺するという貴重な読書体験を得ることができました。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!高笑う「魔法少女」に下す、ロジカルな現実の鉄槌
この物語は、ある者の死の真相を解明するという小規模な調査だったはずにもかかわらず、それから何故か次々に別の事件に直面していく個人探偵の榊原恵一(と自称助手の少女)が、自らの傑出した推理力でそれらに立ち向かい、犯人を追い詰めていく物語だ。
そして、シリーズ「名探偵・榊原恵一事件ファイル」の中では、私が一番好きな事件である。
なぜ本作『魔法少女は高笑う』が好きか。
まず、もともと私はアニメを視聴することは人並み程度に好きだし、推理ものや刑事ものにおいてアニメの制作現場が軸に取り上げられるのは私としては目新しさを感じた。でもそれだけなら、他作だってめいめいの舞台があってそれぞれに優れた推…続きを読む