第2話

 二十年前、中東で活動していた考古学者の発掘隊が乗った帰還途中のヘリが墜落した。

 当時、その国は内乱が起こり、いつ大がかりな戦争へと発展してもおかしくない状況であった。そのための急遽の帰還であったが、運悪くミサイルによる攻撃によって操作者含め学者たち十二人が死亡したと思われる。

 死体は爆撃の影響から回収不可能であったため、彼らが死んだされて世界中に発信された。

 国そのものは戦争へと発展、他国からは大きな非難を浴びた。

 しかし、問題はそれだけではなかった。

 学者たちが持ち帰ろうとしていた何かが問題であった。


 レネゲイド・ウィルス。

 背徳者の名を持つウィルス、世界の摂理すべてに反すものが広がったはじまりの事件。

 レネゲイドウィルスは感染を行い、覚醒すると同時に理に反した力を与える。

 学者たちが持ち帰ろうとしていた、なにか、に封じれたそれは爆発とともに世界へと広がった。

 人類の八割がウィルスに感染、覚醒した者たちが現れた。

 不死に近い回復力、超人的パワーや能力を発揮された彼らは【オーヴァード】と呼ばれた。

 混乱と災い、血と呪い、祝福と祈りを経て、オーヴァードによる世界への侵蝕は広がり、人類の日常の裏で彼らは活動している。

 現在、大きく分ければ二つの組織が世界で活動を行っている。

 世界の安寧を願うユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワーク――UGN。

 人との共存を望み、徹底的な情報管理を世界規模で行い、いつか人類に受け止められる日のために活動している。

 反してファルツハーツ――FHは国際テロ組織としてオーヴァードは欲望のままに生きるべきと主張、UGNに反発、敵対している。

 いくつかの企業、組織などの思惑が入り乱れ、世界の裏側は常に混沌のなからある。


 はじまりのウィルスから広がったその種は十二の力を人類に与えた。

 光のエンジェルハロゥ、時のバロール、電脳のブラックドック、血の申し子のブラム・ストーカー、獣のキュマイラ、軟硬のエグザイル、音のハマヌーン、砂のモルフェイス、才のノイマン、領域のオルクス、熱氷のサラマンダー、物質のソラリス

 そして近年新しいシンドロームが確認された。

 喰らいつくすウロボロス。

                  ――ある学者の【はじまりの論文】より

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