第23話
シンドロームによりさまざまな力がオーヴァードは得ることができるが、彼らは常に【ジャーム】という種になる危険性を持っている。
オーヴァードはそもそもが覚醒することが稀である。
覚醒時にウィルスの与える変化に肉体が耐え切れず、死亡、またはジャーム化する者がほとんどである。
覚醒後、身体能力、強い能力を発現させるのもはさらに貴重といえる。これらは訓練次第によっては伸びることもあるが……(中略)……覚醒にもさまざまな要因が存在し、それからなる個人の気質、経験、覚醒においての原因からなる衝動を持つことがある。これは全部で十二に分類する。
衝動は普段はオーヴァードたちの意思の下に存在するが、ウィルスの活性化を受けることで意識が負けてしまうこともある。
衝動とは強い執着である。
現在確認された衝動は十二個に分類されている――解放、吸血、飢餓、殺戮、破壊、加虐、嫌悪、闘争、妄想、自傷、恐怖、憎悪。
これらの衝動は人間が精神的錯乱に落ちいた際の強い執着、または理の狂気のようなものと比べると極端である。それしか考えられず、満たすことのみに意識を向けて活動を行う。
通常の人間であれど狂気に陥ることで恐ろしい力を発揮することがあるが、オーヴァードのそれは非ではないほどのパワー、行動力を起こさせる。
衝動とはオーヴァードにとってはあらがいがたいものであり、必ずついてまわるものである。
これはレネゲイドウィルスによる覚醒した者における脳の変化、またはウィルスに感染した副作用ではないかと考えられている。
衝動を抑え、通常通りに生活することはオーヴァードにとっては大切なことだ。
しかし。
衝動に負けてバケモノとなるものがいる。これはウィルスに肉体・精神を完全に支配された状態といえる。
それがジャームである。
肉体がバケモノとなり、言葉も使えぬパターンもあれば、人の身をして、人のように理性を発揮する者もいることが確認された。
ジャームとはすべてにおいて衝動を優先する。彼らは必ず己のために人類に災いをもたらせる。
ゆえにUGNではジャームは発見次第、討伐を行うように命令をされる。
出来るだけ生け捕りを行い、冷凍保存する。
なぜならジャームの治癒方法は現在見つかっていないからだ。
――コードウェル【ジャーム発生論】より
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